私は中古車販売店で販売員を担当しており、その流れで保険業務もしております。お客様の悩みとして多いのが、「中古車に車両保険は必要なのか?」ということ。新車であればまだしも、中古で買った車に対して高い保険料を払うべきなのか。そう言われると少しもったいない気もしますよね。
では、実際に車両保険をつけるべきかと言うと、生活事情や懐事情によります。ローンで買った車なのか、購入時の価値はどれぐらいなのか、日常生活に車はどれだけ必要なのか…などなど様々な要因を考慮し決定すべきです。では、実際の現場ではどのようなアドバイスをしているのか。今回は現場で働くプロの目線で「中古車に対する車両保険の必要性」について説明いたします。
現在中古車販売店の営業として勤務する傍らでフリーライターとしても3年間活動しています。損害保険募集人の資格も持ち、自動車保険の販売も並行して行っています。中古車を販売しながら、それに付随した自動車保険の提案を行っておりますので、より現場に近い立場から自動車保険のことについて解説ができます。またフリーライターとしての経験を活かし文章で皆様にわかりやすく自動車保険のことについてお伝えしていきたいと思っております。
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目次
中古車に車両保険をつけるべきかどうかはどう判断すべきか?
実際の肌感覚でいうと、「中古なら車両保険は付けなくて良い」と考えている人が多い気がします。確かにその通りで、中古車は新車に比べると車両保険を付けるメリットが少ないです。しかし中古車とは言え「車両保険を付けるべきケース」もあります。
まずは、「付けたほうがいケース」「付けなくても良いケース」を説明しますね。
付けた方が良い場合
- 購入した車の価格が高い
- ローンで購入している
- 次の車を買い替える余裕がない
- キズが付いていない状態で乗りたい
購入した車の価格が高い
まず、購入した車の価格が高い場合は車両保険をつけるメリットが十分にあります。
そもそも車両保険の限度額は、保険加入時(または更新時)の評価額で設定されます。もちろん中古車は古い車となるため評価額も低く、車両保険に加入するメリットがない場合もあります。しかし、中古車の全てが評価額を落としているわけではなく、車種や状態によっては中古車であっても200万円~300万円以上する車もあります。このように評価額の高い車であれば車両保険をつけるメリットは十分にあります。事故に怯えてビクビク運転したくない人は、車両保険をつけても良いとご案内しています。
ローンで購入している
これは実際の業務でも必ず言っていることですが、ローンで購入する場合は少なくとも完済するまでは車両保険を付けておいた方が良いです。
過去に数件、ローン購入した車を横転や過失割合0:100の事故(こちらが悪い)で廃車にしてしまったケースを見てきました。車両保険を付けていれば補償でローンを完済し、次の車をもう一度ローン購入するという選択肢もあったのですが、車両保険を付けていなかったがためにローンだけが残るという最悪の結果になってしまいました。どのお客様も廃車になった車のローンを払いながら新しい車のローンも払うという二重ローンになってしまい、私としても心苦しかったのを覚えています。
次の車を買い替える余裕がない
もし購入直後に廃車レベルの事故を起こしたとしても、また新しい車を購入できる余裕のある人はいいですが、車が必要なのに購入できないというのが最悪のケースです。生活する上で車が必需品なのであれば、車両保険を付けておいた方が良いでしょう。車両保険は洪水や天災(地震・噴火・津波を除く)での損害も補償してくれます。事故だけに限らず、廃車になった場合を想定して考えることをお勧めしています。
キズが付いていない状態で乗りたい
絶対にキズが付いていない状態で乗りたいという方も車両保険を付けておいた方が良いでしょう。大きなキズの場合は修理費が20万円前後、もしくはそれ以上になることもあります。修理費の捻出が厳しい方も車両保険を付けておいたほうが無難です。
付けなくても良い場合
一方、車両保険をつけなくてもいいと判断できるケースもあります。
- 購入した車の価格が安い
- 多少のキズなら気にせず走れる
購入した車が安い
車両保険で支払われるのはあくまでも車の評価額までであり、仮に50万円だとしたら全損になっても50万円までしかおりません。車両保険の保険料は高額ですので、評価額の低い車につける必要性は薄いと判断できます。おおよそ50万円~60万円以下のお車であれば付ける必要性はないと判断するのが一般的です。
多少のキズなら気にせず走れる
多少キズがついたとしても気にせず走れる場合も車両保険はいりません。経験上、自損事故で廃車になったり、数十万円規模の修理が必要な損害を被ることは稀です。たとえ大きなキズがついたとしても走行には支障が無いことがほとんどです。キズさえ気にならない場合はわざわざ車両保険を付ける必要はありません。
「若い人は事故を起こしやすいから車両保険をつけるべき」は間違い?
「若いと事故を起こしやすいから車両保険が必要なのでは」と感じるかもしれませんが、車両保険付けた場合の保険料が若者は段違いに高いことを考慮しなければなりません(特に未成年の場合)。
例えば20歳以下の方が100万円の中古車を購入し新規で自動車保険に加入する時、車両保険を付けた場合と付けない場合で年間保険料は以下のようになります。
車両保険あり | 車両保険なし |
---|---|
378,430円 | 163,290円 |
※損保ジャパン日本興亜株式会社「THEクルマの保険」での試算
※車両保険(一般補償)の有無以外の条件は同じ
このように車両保険を付けた場合と付けない場合とでは年間20万円以上もの差が出てきます。1年間事故が無ければ20万円もドブに捨てるようなものです。さらに20万円あればちょっとした修理であれば十分まかなえます。浮いたお金を貯金して、もしもの時の修理費や次の車の購入資金に回した方が合理的です。
こうした事情も考えながら車両保険をつけるかどうかは判断すべきです。ただし、車がないと生活できなくなるようであればもしもの時を想定し付帯しておくのは決して間違いではないのであしからず。
車両保険を付けると保険料はどれくらい上がる?
車両保険をつけるかつけないかでは保険料は大きく変わります。1.5〜2倍近くは変わると思っていただいて間違いありません。
ここでは200万円の普通車を中古で購入した場合に各年齢、等級でどの程度保険料が上がるのかを試算してみました。
※保険料は損保ジャパン日本興亜株式会社「THEクルマの保険」での試算結果を参考にしています。
※車両保険(一般補償)の有無以外の条件は同じとなっています。
20歳・新規6等級の場合の年間保険料
車両保険あり | 車両保険なし |
---|---|
413,110円 | 179,940円 |
20歳だと年齢条件による割引を受けられない年齢です。それに加えて新規6等級での加入となると割引率がかなり低いため、車両保険を付けてしまうとかなり保険料が上がります。
この場合だと年間233,170円も保険料がUPしています。ローンで購入しているなど特別な事情が無い限りは車両保険を付けない方が無難でしょう。
24歳・10等級の場合
車両保険あり | 車両保険なし |
---|---|
207,850円 | 97,220円 |
24歳の場合、運転者年齢条件で21歳以上の割引を適用することができます。また等級も10等級まで上がっていると、割引率もかなりアップしています。車両保険を付けた場合でも年間10万円しか保険料が上がっていません。とはいえ10万円。月々でいうと1万円弱は支払わないといけない計算です。
運転に自信がある方や、次の車に買い替える余裕がある場合は無理に車両保険を付けなくても良いでしょう。逆にそうでない場合やローンで購入している場合などは念のため車両保険を付けておくことをお勧めします。
30歳・15等級の場合
車両保険あり | 車両保険なし |
---|---|
148,730円 | 74,520円 |
30歳となると運転者年齢条件が更に引き上げられ26歳以上の割引を適用することができます。また等級も15等級とかなり高い等級になっているため割引率が大きいです。
車両保険を付けた場合であっても年間保険料のUPは約7万円と10万円以下に抑えられており、このくらいであれば少し運転に不安があるなら車両保険付けておいても損はないように思えます。
40歳、20等級の場合
車両保険あり | 車両保険なし |
---|---|
102,040円 | 54,680円 |
40歳ですと運転者年齢条件も36歳以上と最大の割引を受けることができます。また等級の20等級と最高等級なのでかなり大きな割引になっています。
もちろん運転に自信がある方や、もし廃車になった場合に諦められるという方であれば車両保険を付ける必要はないですが、車両保険を付けていれば自損事故だけでなく、いたずらの被害に遭った場合や台風や洪水で車が廃車になった場合などにも補償を受けることができます。
ここまで年齢があがると車両保険を付けても保険料は年間5万円も上がらない程度なので、車両保険を付けることによって受けられる補償の内容を考えれば付けておいた方が無難でしょう。
実際に車の修理費はどれくらいかかるのか?
車両保険を付けていなければ自損事故の場合は100%、相手がいる事故の場合でも過失割合に応じて自分の車の修理費の負担が発生します。
車の修理費がだいたいどの程度かかるものなのかがわかっていれば車両保険を付けるかどうかの重要な判断材料になると思います。ここでは部位別に車の修理費の概算を見ていきましょう。
部位別修理費一覧表
バンパー | 50,000円~80,000円 |
---|---|
フロントフェンダー | 50,000円 |
ドア |
小さいキズ:20,000円~30,000円 大きいキズ:50,000円〜 交換:100,000円〜 |
ボンネット | 20,000円~50,000円以上 |
バンパー
バンパーは比較的容易に交換できるため、大きなキズや凹みの場合は交換をお勧めされることが多いと思います。交換となった場合の部品代は50,000円~80,000円程度であることが多いです。
板金塗装でこの価格以下で抑えられそうな場合は、交換ではなく板金塗装をお願いした方が安くあがるでしょう。
フロントフェンダー
フロントフェンダーは面積が小さく、板金塗装でも安くあげられる部位になります。仮に交換となった場合でも価格は50,000円前後となることが多いでしょう。
ドア
ドアについたひっかきキズやドアパンチなどによる凹みが主なので板金や塗装で直すことが多いです。その場合の費用は20,000円~30,000円といったところでしょう。ただしキズや凹みが大きい場合は50,000円を超えることもあります。
あまりにキズが大きい場合などはドアごと交換になるかと思いますが、その場合の部品価格は10万円前後になり少し高くなります。費用を抑えたい場合は中古部品などがないかあたってみると良いでしょう。
ボンネット
ボンネットも他の部位と同じで板金塗装であれば小さいもので20,000円~30,000円、大きいものだと50,000円を超える費用がかかってきます。
部品代も車種によって様々ですので、板金塗装で直した場合と部品交換をした場合とでどちらが費用を抑えられるのか業者に確認してみた方が良いでしょう。中古部品などが安く手に入る場合、かなり費用が抑えられることもあります。
実際の修理はこれらの複合になることが多い
ここまで部位別に修理費用を概算で出してきましたが、実際に事故をした場合ドアだけ、バンパーだけ、フェンダーだけがキズが付くことは稀です。
バンパ―からフロントフェンダーにかけてのキズ。バンパーからフロントフェンダーを通りフロントドア、リアドアまで擦ってしまったキズなど複数の部位にかかるキズや凹みなどが多いでしょう。
こういった場合には板金塗装費用もかなり大きくなってきますし、交換する部品も多岐に渡ります。見た目い損傷がそこまで激しくなくとも場合によっては数十万の修理費を要する場合もあるので注意が必要です。
高級車、外車は修理代も高くなる
高級車や外車は、通常よりも修理代が高くなる傾向にあります。その原因の1つにパーツ代が普通の車に比べ高いということが考えられます。
例えばフロントバンパー1つとっても、普通の国産車であれば50,000円~80,000円程度に新品が取り寄せられるのに対し、高級車や外車だと10万円以上、中には20万円を超えるものもあります。
また高級車や高級外車には便利な機能がたくさん付いています。例えばヘッドライトなどは対向車や障害物に合わせて明るさや照射位置をコントロールできるようになっていたり、ドアミラーにはバックをする時に俯瞰図を映し出せるようカメラが付いていたりします。
運転するには非常に便利で良いのですが、いざ修理となると便利な機能が付いている分部品代が高くなっており非常に高額になることが多いです。
こういった面からも高級車や外車を購入した場合は必ず車両保険を付けるようにしておいた方が良いでしょう。
安く車両保険がつけられるエコノミー型車両保険とは?
ここまで中古車に車両保険を付けた方が良いかどうか、保険料や修理費の観点から論じてきましたが、やはり車両保険を付けると保険料がかなり上がることが大きなデメリットになっていますよね。
そこでお勧めしたいのがエコノミー型の車両保険です。エコノミー型の車両保険を付ければ保険料をそこまで上げることなくある程度の補償が受けられるようになります。
エコノミー型の車両保険とは車両保険のタイプの1つで、車両保険の補償範囲を限定する代わりに保険料を抑えたプランです。一般補償との補償範囲の違いは主に以下となります。
一般補償 | エコノミー | |
---|---|---|
他自動車との衝突 | ○ | ○ |
盗難 | ○ | ○ |
火災・台風・洪水など | ○ | ○ |
単独事故 | ○ | × |
当て逃げ | ○ | × |
※損保ジャパン日本興亜株式会社「THEクルマの保険」の場合
このように相手がいる事故で相手がわかる場合や、盗難、車両火災や台風・洪水などに限り補償をするというプランです。相手がわからない当て逃げや、自損事故に関しては補償されない分、保険料も安く抑えられるという仕組みになっています。
またエコノミー型での補償範囲は保険会社各社によって異なり、例えばあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の「タフ・クルマの保険」に付けることができる「10補償限定」プランであれば、上記に加えて当て逃げも補償対象になります。
エコノミー型の車両保険の補償範囲については保険会社に問い合わせる必要があるでしょう。
エコノミー型車両保険と一般車両保険の保険料の違い
エコノミー型の車両保険と一般車両保険の保険料はどのくらい違うのか、実際に200万円の普通車を中古で購入した場合を例にとり比較してみました。
20歳・新規6等級の場合の年間保険料
一般型 | エコノミー型 | 車両保険なし |
---|---|---|
413,110円 | 293,240円 | 179,940円 |
20歳、新規6等級であってもエコノミー型自動車保険なら293,240円と車両保険無しの場合に比べて12万円程度のアップで済んでいます。月々1万円程度ですね。これなら若い方であっても運転が不安な場合やローンで購入している場合などは付けてもいいかもしれません。
24歳、10等級の場合
一般型 | エコノミー型 | 車両保険なし |
---|---|---|
207,850円 | 150,970円 | 97,220円 |
24歳、10等級の場合は更に安くなり、車両保険無しとの差は約5万円となっています。この程度の差であれば無理なく車両保険を付けられると思います。万が一の時の修理費を考えても付けておいた方が良いでしょう。
30歳・15等級の場合
一般型 | エコノミー型 | 車両保険なし |
---|---|---|
148,730円 | 110,580円 | 74,520円 |
30歳、15等級の場合、その差は更に埋まり、年間約35,000円の差です。月々にすると3,000円を切ってきます。月々3,000円でもしもの時に車の修理費を補償してくれるとなると入っておいた方が得かもしれません。
40歳、20等級の場合
一般型 | エコノミー型 | 車両保険なし |
---|---|---|
102,040円 | 77,380円 | 54,680円 |
最大の割引である40歳20等級の場合は車両保険無しと、エコノミー型自動車保険の差が2万円近くまで縮まってきています。ここまで安ければ逆に入らない方が不安な気がしますね。
【プロが教える】実際の現場でエコノミー型を選ぶ人はどれぐらいいるか?
実際に私が保険を販売する上での実感ですが、車両保険に加入する人の中で約半分がエコノミー型自動車保険に加入しています。
そのエコノミー型の車両保険を選ぶ流れで特徴的なのが、最初から車両保険(一般補償)に加入するつもりだった方で費用を抑えられるからとエコノミー型に流れる人が3割、残りの7割は車両保険が高いからと加入するつもりではなかった人が意外と安いからということでエコノミー型の車両保険を付けていることです。
やはり皆様も本心では安心して運転できる車両保険は欲しいと思っているのだと思います。ただし車両保険は高い。そんな時に役立つのがエコノミー型自動車保険なのです。
中古車に車両保険をつけた・つけなかった人の理由
それでは私が自動車保険を販売する中でお客様から聞いてきた車両保険をつけた理由、もしくはつけなかった理由をいくつかご紹介しましょう。
車両保険を付けた理由
まずは車両保険を付けた理由についていくつかご紹介していきます。
車両保険を付けなかった理由
逆に車両保険を付けなかった理由もいくつかご紹介していきます。
車両保険の安い保険会社を探すには?
車両保険は付けたい。でも高くて付けられないという方は今よりも安く車両保険が付けられる保険会社を探してみましょう。
私がお勧めしたいのはインターネットでできる自動車保険の一括見積もりです。一括見積もりは5分程度必要事項を入力するだけで、なんと最大20社もの見積もりを受け取ることができるお役立ちサイトです。
条件も色々設定できますので車両保険を付けた条件での見積もり比較も可能です。これを利用すれば簡単に今よりも安く車両保険を付けられる保険会社を見つけることができますよ。
まとめ
- 中古車であっても車両保険を付けるべきケースはある。
- 年齢、等級が上がれば車両保険の費用も抑えられる
- 車の修理費は高額になる場合がある
- エコノミー型の車両保険がお得
- 車両保険を安く付けられる保険会社を探すなら「一括見積もり」を利用しよう
今回は中古車に車両保険を付けるべきかどうかを解説していきました。
これは私が自動車保険を販売しながら常々思っていることですが、中古車であれ何であれ車両保険は付けられるなら付けておいた方が良いと思っています。補償の範囲が拡がって悪いことはないですからね。
ただし、車両保険を付けると保険料が大幅に上がってしまうので検討が必要になってきます。大幅に上がった保険料を払うだけの価値があるのかどうかは十分に考えておこないと後々後悔することにもなりかねません。
本記事はその価値があるかどうか考えるための検討材料になるように、なるべく詳しくわかりやすく書かせて頂いたつもりです。もし車両保険を付けるかどうかでお悩みの時は是非とも本記事を参考にしてみてください。
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