自動車保険では「フリート」「ノンフリート」という言葉がよく使われます。フリート契約とはクルマの保有台数が10台以上の方が結ぶ契約形態、ノンフリート契約はその逆で9台以下の場合に結ぶ契約形態になります。フリート契約とノンフリート契約はメリット・デメリットが全くことなりますので、それぞれの違いを理解していないと思わぬ勘違いが生じます。今回は、フリート契約とノンフリート契約について詳しく見ていきましょう。
保険業・不動産・コンサルタント業をメインに複数の会社を経営。自由な人生を送るノマドライター。高級輸入車の新車営業マンから大手損害保険会社に転職後、独立。現在、会社は従業員に任せて毎日自由に生きています。プライベートはミニマリストと呼ばれていて、mac bookとi-padだけで旅しています。
目次
フリート契約・ノンフリート契約の違いは?

フリート契約とノンフリート契約の違いは「必要となるクルマの台数」と「割引・保険適用の仕組み」です。
フリート契約 | ノンフリート契約 | |
---|---|---|
必要な契約台数 | 10台以上 | 1台〜9台 |
割引の仕組み |
・契約台数が増えるほど安くなる ・損害率が減ると安くなる |
・等級が上がるほど安くなる ・年齢条件・運転者条件によって安くなる |
保険適用のされ方 | 契約者のクルマ全てに一括適用 | クルマ一台一台にそれぞれ別々の保険が適用 |
1. フリートは10台以上、ノンフリートは9台以下
フリート契約は10台以上のクルマを所有していなければ契約することができません。一方のノンフリート契約は、1台以上10台未満で行う契約です。個人の方でフリート契約を結ぶ方はごく稀で、ほとんどが事業用に使われています。フリート契約とノンフリート契約はどちらかを選べるというわけではなく、10台未満の方はノンフリート契約、10台以上の方はフリート契約を結ぶ決まりになっています。
似たような名前にセミフリート契約というものがありますが、こちらは2台(保険会社によっては3台)以上のクルマを保有していると契約できます。別名「ノンフリート多数割引」とも呼ばれるものです。1台ずつに等級が設定され、保有台数が増えるほど保険料は安くなるという、フリートとノンフリートのいいところをそれぞれ反映させている契約です。月払いでの割増が免除されるというメリットもあります。
2. 割引の仕組みが違う
フリート契約は、クルマの保有台数が多いほど、そして損害率が低いほど保険料は安くなります。一方ノンフリート契約は、等級が進むほど保険料は安くなるのが特徴です。また、年齢や免許の色(ゴールド免許など)によって保険料が変わるのも、フリート契約との大きな違いです。保険料に対し、どれだけの保険金が支払われたかということを示す計算式です。軽微な事故で保険金の支払いも少ない場合は、損害率に大きなダメージはないこともあります。
損害率の算出方法
損害率=保険金÷保険料×100
3.保険適用のされ方が違う
フリート契約は、一つの契約で保有している全てのクルマに保険が適用されます(契約者にかかる保険)。一方ノンフリート契約は1台ずつの契約が必要になります(自動車ごとにかかる保険)。例えば2台所有している場合は2契約、3台所有している場合は3契約必要になるということです。
フリート契約の4つのメリット
フリート契約とノンフリート契約は契約形態が大きく違うため、メリットとデメリットも異なります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
フリート契約 | ・割引率が大きい ・年齢に影響を受けない ・全車両一括特約が適用される ・フリート契約ならではの支援あり |
・1台の事故が全体の保険料に影響 ・場合によっては割高になる ・保険会社によってフリート契約がない |
ノンフリート契約 | ・割引制度が充実 ・保険内容の充実 ・事故を起こした時のリスク分散が可能 |
・保険料の大幅な割引は期待できない ・年齢が若いほど保険料が割高に ・月払い(分割払い)は不向き ・契約の把握が難しい |
メリットとしては、ノンフリートよりも大きな割引になることや、運転者の年齢の影響を受けないことなどが挙げれます。
①割引率が大きい
ノンフリート契約では最高ランクの20等級でも63%までしか割引されませんが、フリート契約なら契約台数と損害率に応じて、最大で80%ほどの割引になる保険会社もあります。
②年齢に影響を受けない
ノンフリート契約と違って年齢条件がないため、若い従業員が多くいるような法人でも割安に保険を使うことができます。
③「全車両一括特約」で保険料と労力の節約ができる
フリート契約には「全車両一括特約」という特約が存在し、契約を1つの保険会社にまとめることで次のメリットが生まれます。
- フリート多数割が適用されて保険料が5%安くなる
- 保険料を月払いにしても5%の割増が付加されなくなる
- 新たに購入した車も自動的に補償対象になり、手続きをする手間が省ける
④フリート契約ならではの支援が受けられる
ドライブレコーダーの無料貸出や従業員のストレス状態、睡眠状態を管理するアプリ等を無料で使うことができる保険会社もあり、さらに運送業向けの車両管理台帳の作成をしてくれる保険会社もあります。
フリート契約の3つのデメリット
一方で、1台の事故が全体の保険料に影響したり、特約の数が少ないことなどがデメリットです。
①1台の事故が全体の保険料に影響
フリート契約は契約しているクルマすべてに適用される保険のため、1台が事故を起こせば全体の保険料にも影響を与えてしまいます。特に多くの保険金が支払われるような重大事故を起こした場合には、翌年からの保険料が大幅に上がってしまうようなリスクも考えられます。
②割引の種類が少ないため場合によっては割高になる
フリート契約には年齢条件やゴールド免許割引などの割引がないため、場合によってはノンフリート契約よりも割高になることもあります。例えば40代以上のベテランドライバーしか運転しない場合は、ノンフリート契約にするほうが安くなるけースもあります。
③保険会社によってフリート契約がない
通販型自動車保険では、フリート契約を扱っていない保険会社もあります。アクサダイレクト、三井ダイレクト、イーデザイン損保、チューリッヒなどではフリート契約ができません。
フリート契約の見積もりはどこでとる?
フリート契約の見積もりは、原則代理店を通して行います。通販社はフリート契約の取り扱いがないため、見積もりはとれません。
以下、フリート契約の取り扱いがる損保です。
- 東京海上日動
- 三井住友
- あいおいニッセイ同和
- 損保ジャパン
- AIG損保
- 日新火災海上
- 大同火災
- 共栄火災海上
- 楽天損保
これらの損保の代理店となっている店舗で見積もりをとりましょう。
来店が手間に感じる方はネット見積もりに対応している代理店を選ぶのも良いでしょう。やりとりは基本的には電話やメール、もちろん契約手続き関係も全て任せられます。
保険代理店と特別なお付き合いがない方は、こうしたネット対応可能な代理店も選択肢にいれてみてはいかがでしょうか。

フリート契約とノンフリート契約はどう使い分ければいいか?
このように、フリート契約とノンフリート契約はそれぞれ違ったメリットを持っているため、どちらの契約が優れているかは悩ましいところもあるかと思いますが、保険料を安くしたいのであればフリート契約を、特約や保険内容で得したいのであればノンフリート契約を目指すべき言えるでしょう。
保険料を安くするならフリート契約
フリート契約は『保険料が安い』という部分に関しては圧倒的なパワーを持っているため、保険料を安くしたい方は10台以上の所有を目指し、フリート契約にするのがオススメです。
特約や割引特典をとるならノンフリート契約
一方で、ノンフリート契約は特約や割引の種類も多いので、特典がたくさんあります。
- 弁護士費用特約:
- 日常生活賠償特約
- 車内手荷物等特約
- ファミリーバイク特約
- ロードサービス費用特約
このような特典には、値段以上の価値を感じる方もいらっしゃるでしょう。
保険は安心を買うものでもありますから、値段だけでなく「もしもの時の対策」について重きをおくのも方法としてはアリです。
基本的に保険料を安く抑えるにはフリート契約を結ぶことが基本ですが、中には例外もあります。例えば、若い従業員がおらず、35歳以上のベテランドライバーばかりの場合です。この場合、ノンフリート契約で年齢条件をつける方が安くなる場合があります。年間を通して2〜3台の増減がある方は、年ごとにフリート契約やノンフリート契約になるかと思いますが、上記のような例外もあるため、どちらがお得かじっくり考えた上で契約を結ぶようにしましょう。
フリートからノンフリートに移行する場合は等級が引き継がれる
フリート契約からノンフリート契約に以降する場合は新規6等級からのスタートになると勘違いする方は多いですが、等級は引き継いだ形でスタート可能です。具体的にはフリート契約時の割引料率と等級料率を照らし合わせ、近しいものを当てはめるという形です。逆に言えば事故などによって料率が下がっている場合はそれも反映されてしまうことを理解しておきましょう。
格安でフリート契約する裏ワザ【経営者必見】

フリート契約を結ぶためにあと数台クルマが必要だが、購入する資金がもったいないというケースもあるかと思いますが、そんな時は、原付を利用するという方法もあります。原付もフリートの対象車両な上、安い50ccのバイクであれば10万円ほどで購入可能です。これならクルマを買うより安くフリート契約を結ぶことができます。
さらに、原付の購入で減価償却を行えば、損金扱いで税金対策にもなります。格安の原付だけでなく会社の経営状態によって原付の値段を調整するのがオススメです。購入金額は税理士が付いていれば相談をお勧めしますが、このようなテクニックで格安でフリート契約するのも選択肢の1つだと言えるでしょう。もちろん、万が一の時には売却すれば現金化することもできます。
まとめ
- フリート契約とノンフリート契約の違いは「必要となる契約台数」「割引の仕組み」「保険適用のされ方」
- 大きな割引を期待するならフリート契約を、保険内容の充実を図るならノンフリート契約がオススメ
- フリート契約からノンフリート契約に移行した場合には以前の等級が引き継がれる
- フリート契約を結ぶために数台のクルマが必要な場合は「原付」を利用すれば出費を最低限に抑えられる
事業者の方で10台前後をウロウロしている方はどちらの契約がいいか迷う場合もあるかと思いますが、以上の点を参考に決めていただきたいと思います。基本的には保険料を安く抑えるならフリート契約が選択肢となりますが、ドライバーの年齢や熟練度具合によってはノンフリート契約のほうがお得かもしれません。その場合は無理にクルマを増やす必要もないので、一度しっかりと保険料の比較を行なったのちにどちらにするか決めることをオススメします。
