車で事業を営む以上、自動車保険への加入は必須です。しかし、黒ナンバーは普通の自動車と違い取り扱いのある保険会社が限られており、損保会社によっては見積もりをとることができません(保険料が割安なダイレクト型自動車保険を使おうと思ったら見積もりをとれなかったという経験がある方も多いのではないでしょうか)。また保険料が高くなることも特徴で、多くの事業者が悩む部分です。
今回は、黒ナンバーはどの自動車保険なら加入できるかということと、高い保険料を少しでも安くするための方法についてお伝えします。
目次
黒ナンバーが入れる自動車保険一覧
日本国内で自動車保険を取り扱う損保は20社を超えますが、黒ナンバーの取り扱いがある損保は6社しかありません。
- 損保ジャパン日本興亜
- 三井住友海上
- あいおいニッセイ同和
- 東京海上日動
- AIG損保(旧富士火災・旧AIU損保)
- 楽天損保(旧朝日火災)
これを見て代理店型自動車保険しかないことにお気づきでしょうか。残念ながら保険料の安さが魅力の通販型自動車保険は黒ナンバーの取り扱いがありません(ソニー損保・アクサダイレクト・チューリッヒなどは有名な通販型自動車保険です)。
保険会社によって用意している法人向け特約は異なる
事業用の自動車保険については、各社用意してある特約が異なります。自分の事業にあった特約があるかどうかを基準にするのも保険選びのポイントになります。
損保ジャパン
- 休車費用特約
- 受託貨物賠償責任特約
- 安全運転教育費用特約
- リースカーの車両費用特約
- 臨時代替自動車特約
三井住友海上
- 対人賠償使用人災害特約
- 搭乗者傷害事業主費用特約
- 積載貨物賠償特約
- 積載事業用動産特約
- 法人契約の指定運転者特約
※三井住友は「スマNavi」という従業員の運転力診断・管理ができるアプリを用意しています(GPSを使った機能搭載)。居眠り運転防止のためのいびきチェックなどユニークな機能もついています。
あいおいニッセイ同和
- 企業・団体見舞費用特約
- 対人賠償使用人災害特約
- 搭乗者傷害事業主費用特約
- 対物賠償費所有管理財物特約
- 運転業者受託貨物賠償特約
- 事業用積載動産特約
AIG損保
- 事業用動産特約
- 経営者サポート費用特約
黒ナンバーの保険料試算を取りたい場合はどうすればいい?
自動車保険のネット見積もりを使う方も多いと思いますが、黒ナンバーは公式サイトでのネット見積もりができません。試算できるのはあくまでも「自家用車」だけです。
しかし方法がひとつだけありまして、「法人向けの一括見積もりサービス」を利用することで見積もりをとることができます(黒ナンバー・緑ナンバーにも対応)。
事業用軽自動車に付けられる「黒ナンバー」とは?
そもそも黒ナンバーとは、事業目的で使用する「軽自動車」のナンバープレートのことです。自家用軽自動車であれば黄色のプレートに黒字なのに対し、事業用車になると黒のプレートに黄文字となっています。
行う事業はあくまで「モノ」の輸送に限られており、人を運ぶことはできません。プレートの発行は、運輸支局に事業の届出をしたあと、軽自動車検査協会で発行してもらうという流れになります。
同じ事業用車のナンバーで言えば「緑ナンバー」もありますが、こちらは普通車などにつけるナンバーです。届出制の黒ナンバーと違い、取得には国土交通大臣の許可がいります。タクシーやバスなどからわかるように「人」を運ぶことが許されている他、トラックなどのようにモノを運ぶ事業においても幅広く使われています。
黒ナンバーの保険料は高い
黒ナンバー(事業用車)の保険料は自家用車と比べると高いです(概ね2〜3倍は違います)。自動車保険はリスクによって保険料が変動することはご存知かと思いますが、黒ナンバーは使用頻度が高く、走行距離も長くなる傾向にあるため、相対的に事故リスクが高いとみなされます。さらに等級の引き継ぎができなかったり、年齢条件がつけられなかったりと、使える割引が限定されることも割高になる要因のひとつです(※後述しますが、黒ナンバーは安さが特徴のダイレクト型自動車保険にも加入できません)。
黒ナンバーの保険料を少しでも安くする方法は?
保険料の高さがネックとなる黒ナンバーの自動車保険ですが、保険料を少しでも安くするための方法としては以下の2つが挙げられます。
- フリート契約にする
- ミニフリート契約を活用する
フリート契約にする
保有している車が10台以上になると「フリート契約」に切り替わります。フリート契約はノンフリート契約と違い等級制度がありません。保有台数が多いほど、また支払われた保険金が少ないほど割引率は高くなります(軽微な事故であれば保険料にあまり影響がないこともあり得ます)。ノンフリート契約だと割引率の最大は63%(20等級の場合)ですが、フリート契約では70〜80%割引となることからも高い割引率であることがわかっていただけるはずです。
フリート契約の条件となる10台には「原付」を含んでもOKです。10万円前後で購入できるため車を購入するより安く条件を満たすことができます。経費計上できることも節税対策を考えればメリットです。「保有台数が9台でギリギリ届かない」というようなオーナーにはオススメの方法となります。
ミニフリート契約にする
保有台数が10台に届かなくても、複数台所有している人は「ミニフリート契約」を結ぶことができます。ひとつの保険証券にまとめること、保険の始期日を同じにすること。これがミニフリート契約の条件になります。
ミニフリート契約にすることで「ノンフリート多数割」が適用されます。割引率は保険会社によって異なりますが、だいたいを知りたい方は以下を参考にしてください。
台数 | 割引率 |
---|---|
2台 | 3% |
3〜5台 | 4〜5% |
6〜9台 | 6〜7% |
保険会社によっては2台以上でOKなところもありますが、ほとんどは3台以上からがミニフリート契約になります。
黄色から黒ナンバーになった時の等級は引き継げる?
これまで黄色ナンバーとして使っていた車を黒ナンバーにするケースもあるかと思いますが、その場合、基本的には等級を引き継ぐことはできません。
ただし例外として、黄色ナンバーで個人向け商品にて使用目的が「業務使用」で契約していており、車の使用者・所有者ともに変わりなくその後事業拡大の為に伴い法人契約または一般契約(個人向け商品以外)に切り替える場合は等級の継承ができるケースもあります。
黒ナンバーでも「業務使用」以外の利用区分は選べる?
利用区分は保険料に直接影響のある項目でもありますが、黒ナンバーの契約の場合、一般用契約または法人契約(個人向け商品以外)になる為そもそも利用区分の選択がありません。ですから利用区分の影響で保険料が変わることもありません。
ただし、黄色ナンバーの車の場合は個人向け商品に加入できますので、その場合は利用区分の選択は必須になります。年間を通して週5日以上か、月に15日以上業務に車を使用する場合は利用区分を「業務使用」にする必要があります。
期の途中で黒ナンバーになった場合、保険はどうすべき?
保険満期を迎える前に黄色ナンバーから黒ナンバーに変更になった場合、期の途中であっても新たに(新規で)法人用または一般用(個人向け商品以外)として任意保険に切り替える必要があります。その際は、速やかに黄色ナンバーから黒ナンバーになる旨を代理店までお伝え下さい。また、今までの契約は中断証明書を発行しておくと、10年間のうちは自家用車に新たに保険を付帯する時に等級を引き継ぐ事ができますので中断証明書を発行しておく事をおすすめします。
ただし、もともと黄色ナンバーの契約で使用目的が「業務使用」で契約していたり、その後の契約で車の使用者・所有者ともに変わらなく、事業拡大の為に伴い法人契約や一般契約(個人向け商品以外)に切り替える場合は保険の商品は変わっても等級の継承ができるケースもありますので一度、代理店に確認してみる事をおすすめします。
まとめ
- 黒ナンバーの保険料は高い
- フリート契約などを使って保険料を安くする方法はある
- 黒ナンバーを扱う保険会社は限られている
- 事業用車用の特約は各社異なる
- 黄色から黒ナンバーへの変更では等級引き継ぎは原則できないが、例外としてできる場合もある
一般的に保険料の高い黒ナンバーですが、方法次第では少しでも安くする方法ありますのでぜひ参考にして見てください。また、実際に代理店に見積もりを依頼して各社保険料の比較をしてみてはいかがでしょうか?細かい補償サービスや手続きに関することまで詳しく教えてくれますよ。事業者様に最適な自動車保険を提案してくれたり疑問質問にも答えてくれますのでぜひ一度お見積もり依頼される事をおすすめします。