クルマが同じでも、排気量の大きい型式のほうが保険料が高くなることがあります。この場合、排気量の違いで保険料が決められているかというと、実はそうではありません。
現在の保険料は「車両料率クラス」によって決められており、あくまでも車の型式ごとの事故リスクによって保険料が決められています。
しかし、排気量の大きいほうが車両料率クラスが高い傾向にあるのは事実です。
この記事では、排気量と保険料の関係、そして車両料率クラスについて詳しくまとめたいと思います。
保険業・不動産・コンサルタント業をメインに複数の会社を経営。自由な人生を送るノマドライター。高級輸入車の新車営業マンから大手損害保険会社に転職後、独立。現在、会社は従業員に任せて毎日自由に生きています。プライベートはミニマリストと呼ばれていて、mac bookとi-padだけで旅しています。
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目次
自動車保険の保険料は排気量に左右されない
冒頭にある通り、排気量の違いによって保険料が変わることはありません。厳密に言えば、「関連性はあるが直接関係はしていない」と言ったほうがいいでしょう。
車両料率クラスとは?
保険料を決める要素の一つ。各保険会社は車両料率クラスを元に保険料率を決めている。
1〜9の数字で事故リスクを表しており、「1」が最も低リスク、「9」が最も高リスクとみなされる。
『対人賠償』『対物賠償』『傷害』『車両保険』の4つの区分に分けられている。
現在、自動車の保険料は、損害保険料率算出機構が決めた「車両料率クラス」を基に算出されています。
車両料率クラスは、クルマの型式ごとに設定されているため、同じクルマでも型式が違えば車両料率クラスも異なります。
例えば、プリウスを見ていきましょう。
プリウスの型式 | 対人賠償 | 対物賠償 | 傷害 | 車両保険 |
---|---|---|---|---|
ZVW55 | 3 | 3 | 4 | 4 |
NHW20 | 6 | 5 | 4 | 4 |
※2018年のものです。
このように、同じ車種でも車両料率クラスは型式によって全く異なります。
つまり、「同じクルマなのに保険料が違う」というのは排気量のせいではなく、型式によって車両料率クラスが異なるためだったということです。
車両料率クラスはどう決められるのか?
車両料率クラスは以下のように決められます。
事故や盗難が多い型式ほど料率クラスは高くなる
車両料率クラスは「事故リスク」によって決められています。例えば、コンパクトカーとスポーツカーでは、スポーツカーのほうが事故リスクが高いため、車両料率クラスも高いです。これは、スポーツカーはスピードをガンガン出して運転する人が多いためです。また、盗難の多いクルマも車両料率クラスは高くなります。
保険会社にとってみれば、なるべく保険を使われないほうが自社の儲けとなります。なので、保険を使われるリスクの高いクルマは保険料を高くして、リスクの低いクルマは保険料を安くするという方法をとっています。
損害保険料算出機構によって1年ごとに見直される
この車両料率クラスは、損害保険料算出機構によって1年ごとに見直されており、事故や盗難などの発生率が多かった型式は車両料率クラスがアップする場合があります。
各保険会社がそれぞれ独自に設定する
また、車両料率クラスは各保険会社がそれぞれ独自に設定しているため、同じ型式でも保険会社によっては保険料に違いが生じる場合もあります。
昔は排気量で保険料が決められていた?
現在は車両料率クラスによって保険料が算出されていますが、これは2001年から採用されているものです。
それよりも前の時代には、エンジンの排気量によって保険料が算出されていました。
具体的には、以下の3つの分類を基に保険料は決められていました。
排気量 | 保険料 |
---|---|
〜1500cc | 低クラス |
1500cc~2500cc | 中クラス |
2500cc〜 | 高クラス |
例えば、600ccほどの軽自動車とマツダのアクセラ(1500cc)が同じ保険料だということです。また、プリウスとBMWの5シリーズ(2000cc)も保険料が同じということですし、クラウンの2500ccとポルシェなどのスポーツカーも保険料もまた同じになることになります。
つまり、クルマの大きさ、エンジン性能、車両価格、そしていたずらされる率も全く違う種類のクルマが、同じ保険料を払わなければならかったということです。
こう考えると、事故リスクによって保険料が変わる車両料率クラスは合理的な制度といえます。
車両料率クラスは型式ごとに設けられているため、使用用途(家族向け・事業用など)や形状(セダンやSUV)など、各クルマのオーナーの層にも併せて料率設定されていることで、平等化したことが最大のメリットです。
しかし、1年に1回の車両料率クラスの見直しで保険料が変わってしまう可能性があるというデメリットもあります。
自動車保険のプロが教える車両料率クラスの対策方法
車両料率クラスは、自分と同じ型式のクルマの事故率やいたずら発生率などから毎年見直しが行われます。つまり、自分が事故を起こしていなくとも、保険料が上がる可能性があるのです。
こうなると、「事故すらしてないのに保険料が上がるのは納得いかない!」という方も多いと思います。
ということで、車両料率クラスへの対策についてお伝えしたいと思います。
1.参考純率上の料率クラスを知っておく
まずは、自分が乗っているクルマの参考純率上の料率クラスはいくらなのか把握しましょう。
参考純率とは、保険会社が保険料率を決定する際に参考にしている指標のことです。損害保険料算出機構が、過去の膨大な事故データを分析し、1台あたりの保険金支払いと保険料が等しくなるように算出しています。
保険会社はある程度車両料率クラスに独自の係数を加えているので、予め参考純率上の料率クラスを知っておくことで、見積もりをとった保険会社の車両料率クラスが高いか低いかを確認することができます。
参考純率は以下のサイトで調べることが可能です。
https://www.giroj.or.jp/ratemaking/automobile/vehicle_model/
2.車両料率クラスがない「軽自動車」を利用する
クルマの車種にこだわらない場合は、軽自動車を利用するのもオススメです。
軽自動車は車両料率クラスが適応されていない(H30・7月現在)ため、保険内容が同じであれば、スズキでもダイハツでもホンダでも保険料は同じになります(車両保険の部分だけ車両本体価格が違うので車両保険だけ価格差が発生)。
ですので、「車両料率クラスに従いたくない!」という方は軽自動車に乗るのは有効な手段です。
ただし、まだ未確定ではありますが、今後は軽自動車にも車両料率クラスが導入されると言われています。自動ブレーキなどが標準装備になった軽自動車が増えると、車両料率クラス制度が導入される可能性は極めて高いでしょう。軽自動車に車両料率クラスが導入された場合、自動ブレーキなどの安全装備が付いていない軽自動車は2倍以上保険料が上がる可能性があると言われています。
3.販売台数の多い人気の型式を避ける
販売台数の多い型式を避けるのもある程度有効な手段です。
車両料率クラスが保険料の試算に組み込まれたことにより、車種1台1台の事故率が明確にわかるようになりました。そのため、販売台数が多い車両ほど事故率が上がり、販売台数が少ない方が事故の発生率も少ないことがわかっています。
そのため、人気車種を避けることのも一つの保険料対策になります。
特に事業用車などで大量発注されているクルマほど年ごとにリスク区分が上がる可能性があるので、自動運転システムの採用をされ数年経ってから購入することをお勧めします。
近年人気の人気SUV車に関しては、
車種 | 対人賠償 | 対物賠償 | 傷害 | 車両保険 |
---|---|---|---|---|
ランドクルーザー | 7 | 4 | 4 | 8 |
FJクルーザー | 5 | 6 | 4 | 2 |
このような差が発生します。この数字の差は排気量というよりも、ランドクルーザーは盗難率ランキング上位ということもあり、車両に8がついているのが分かりやすく反映されていると言えます。そして、保険会社によって差が出ますが、ランドクルーザーは車両保険をつけると年間で10万円以上変わります。
プリウスは国産人気ハイブリット車ですが、実は年ごとに数字が変わり今年は対人賠償が4から3になったことで保険料が下がったケースもあります。しかし、1年ごとの見直しなのでプリウスに乗っている方はなるべく「他のオーナーが事故を起こさないでくれ」と願うしかないです。
エンジンの排気量では左右されない保険料ですが、人気の車種ほど保険料が高いという部分だけを考えてみると、「乗れたら良い」ライフスタイルに合えば良いという考えがあれば、まずは街で見かけない車種を選ぶことが得策だと言えます。
まとめ
最後にこの記事の内容をまとめてみます。
- 排気量の違いで保険料が変わるわけではない
- 保険料は車両料率クラスによって決められる
- 排気量の大きいクルマは車両料率クラスも高くなるが、両者の関係は直結しているわけではない
排気量が違えば保険料も高くなるという傾向は確かにありますが、排気量から保険料が算出されているわけではありません。
保険料は車両料率クラスから算定されているため、もし保険料を抑えたければ、これに対する対策を立てることも手段のひとつです。
また、車両料率クラスは保険会社が独自に算定されているため、同じクルマに乗っていても、保険会社によって保険料が大きく変わる可能性もあります。保険料の見直しをしたい方は、まずはそれぞれの保険会社に見積もりをとってもらうことが最も得策かと思われます。
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