全く身に覚えのない傷が車についている場合、それは「いたずら」である可能性が高いです。特に、治安の悪い地域、不特定多数の人がいる繁華街などに駐車してると、いたずらされるリスクも高まります。
ここで気になるのは修理費かと思いますが、車に対するいたずらは「車両保険」の補償対象であるため、保険会社に負担してもらうことができます。また、一般型だけに限らず、エコノミー型でも補償対象です。
ただし、保険金がおりる前に保険会社の調査があります。主に不正や自演防止のために行われるものですが、いたずらが認められないと保険金が下りなくなることもありますので、必要に応じて調査に協力してあげることも必要です。
今回の記事では、実際にいたずら被害にあったらどうしたらよいのか、また保険金はどのような流れで支払ってをもらえるのかなど、いたずらされた時の自動車保険の使い方について詳しくお伝えします。
大手損保会社にて、自動車事故後のお客様対応をしていました。主な仕事は、保険金の支払いしたり、契約者様の代わりに相手方と示談をすることです。一年に数百件の事故担当をしたこともありました。事故が起こった時に気を付けるポイントなど、保険会社の目線で詳しく伝えたいと思っています。また損害保険募集人の資格も持っていますので、保険の知識を生かして、保険の意義についても伝えていきたいと思っています。
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目次
車へのいたずらはほとんどが車両保険の対象範囲
いたずらによって修理が必要になった場合、そのほとんどは「車両保険」によって補償を受けられます。ただし、いたずらの種類によって補償を受けられるかどうか変わるため、自分が受けた被害が対象となるのか確認することが必要です。
対象となるいたずらは以下の通りです。
「いたずら」と認定される行為
- 10円パンチ(10円玉で線傷を書かれる)
- 塗料を塗られる
- 調味料をかけられる
- 車体に石を投げられる
認定されない行為
- タイヤのパンク
- 走行中に付いた傷や、乗降の際に発生したと思われる傷
その他複雑なケースもあると思いますので、その場合は保険会社に直接問い合わせ確認するようにしましょう。
一般型・エコノミー型どちらでも補償の対象範囲
車両保険には、すべてのリスクに備える一般型と、補償範囲が限定されたエコノミー型(車対車+a)がありますが、いたずらの被害についてはどちらのタイプでも保険金の支払いを受けられます。
保険を使ったとしても1等級ダウン事故扱いで済む
通常、保険を使うと3等級ダウンになることが多いですが、いたずらの場合は1等級ダウン事故扱いで済みます。
保険を使うと翌年以降「事故あり等級」となり、等級が下がることに加え、通常の等級よりも割引率が低くなってしまいます。ただ、1等級ダウン事故の場合は1年で通常の等級に復帰できるため、通常の事故と比べて負担も小さいです(3等級ダウン事故の場合は3年)。
パンクのみの損害は保険適用が原則不可
注意しないといけないのが、いたずらの被害が「タイヤのパンクのみ」だった場合は補償の対象外ととなることです(車体+タイヤの損害はいたずらとみなされます)。
理由は、タイヤは摩耗商品であるからです。いたずらされタイヤがパンクしたとしても、どこからが摩耗で、どこからがいたずらの被害なのかが判断できません。そのためパンクのみの場合は補償の対象外となってしまいます。
走行不能になるのでロードサービスの利用は可能
タイヤのみの場合は保険会社に連絡をしなくて良いのかというと、答えは、「No」です。
タイヤがパンクした場合、高い確率で車が走れなくなってしまいます。いわゆる、走行不能の状態です。その際は、自動車保険に付いているのロードサービスを使用することができます。ロードサービスは特約なので、使用しても等級に影響はありません。積極的に使ってください。まずはロードサービスに連絡を入れ、レッカーで運んでもらいましょう。
また、パンクの被害に関しては保険対象外ですが、事故報告も上げると、専任の担当者と話ができます。
保険金の支払いの前に保険会社の調査が入る
いたずら事故の場合、保険会社が委託した調査会社からの調査が入ることが多いです。
調査費用がかかるので、事故状況や被害状況によっては入らない可能性もあります。ただ、調査が入らなかったとしても、被害状況を細かく聞かれたり、車の立ち合い確認をしたりと、細かい質問があると思っておいてください。不正や自演防止のため、通常の事故よりも精査されます。
調査が完了し報告書が上がるまでは、数週間~数か月見ておいた方が良いでしょう。
どのような調査が行われるのか?
調査項目は以下の通りです。
- ①事故状況の精査(本人からの聞き取り)
- ②周辺での車の被害状況の調査
- ③被害者の過去の事故歴の確認
- ④保険請求履歴・保険加入期間の確認
あくまで保険会社の調査の目的は、契約者が被害者であることを立証するためものです。不明点や疑わしいことを、ひとつひとつ潰していきます。
調査で疑われないためのポイントは?
調査でのポイントは、起こった事実をそのまま話すことです。知らない事は知らない、分からないことは分からないと伝えましょう。逆に、変に知っているふりをすると、怪しまれることもあります。あくまで、「周知していることを明確にする」「身の潔白を主張するために協力している」というスタンスで考えましょう。
いたずら被害にあったらすべきこと4つのこと
スムーズに保険金を受け取るためにも、被害にあったら次の4つをしておいてください。
警察への被害届の提出
こちらは必須で行ってください。パンクのみの被害でも警察への届け出は行いましょう。いたずらは犯罪です。犯人特定や、二次被害防止のために警察に届けましょう。
また、ご自身の身を潔白するためにも、第三者に事実確認してもらうことは重要です。警察にも日時、場所、発見当時の状況を伝えておくと良いでしょう。
事故当時の状況を写真に収めておく
事故当時の車の状況や、周辺環境を写真に収めておくのも良いです。
人間は時間が経つと記憶が曖昧になってしまいます。そのため、写真はあとから有効な証拠となります。必要によっては、保険会社に提出することもできます。
保険会社や代理店への連絡
事故報告と、契約内容の確認のために行ってください。
警察に伝えた事故当時の状況を、保険会社にも連絡しましょう。ひいきにしてる代理店さんであれば、事故現場まで飛んできてくれるところもあるので、一緒に状況確認してもらっても良いでしょう。
修理工場への連絡
これからの修理の打ち合わせをするために連絡をしてください。この時に、修理の内容、概算費用、代車についても話しておくと良いでしょう。
先ほども述べましたが、保険会社の判断によっては、調査が行われることもあります。たいていの場合、保険金が支払われる前提で、調査完了までに修理をします。
ただ調査が完了してから修理をしたい場合は、その期間の代車について話をしておいてください。調査完了までは、時間がかかるので代わりの足をどうするか?が、問題になってきます。損傷が少なければ、調査が下りるまで自車を乗ったり、自宅に空きの車があれば代用しましょう。
保険を使うかどうかの判断基準は?
修理に保険を使うべきかどうかは、「修理費>保険の値上がり」を基準に判断するのが一般的です。
ただ、1等級ダウン事故なので基本は使う方向で考えると良いです。尚、保険の値上がりについては、保険会社や代理店にてシミュレーションすることができます。
保険金はいつどんなタイミングで支払われるのか?
保険金は、調査会社から報告書を確認し、保険会社が保険金を支払って問題ないと判断されたときに支払われます。
先ほどもお伝えしましたが、調査報告書提出までに、数週間から数か月かかることも多いです。
保険金の支払いは、契約者さまの負担がないように、修理工場に直接支払われます。もし調査が長引いて、契約者が修理費を支払われた場合は、契約者様に直接支払われる格好になります。
もし保険金の支払いが認められない場合に考えられる対策
保険金の支払いが認められないというケースも少なからずあります。そのような場合は以下のような対策を検討してください。
損保ADR、法律の専門家に相談する
損保ADRとは、契約者様と保険会社での話がまとまらない時に仲裁してくれる第三者機関です。裁判を行うより費用が抑えられ、かつスピーディーな解決が期待できます。解決結果については強制力がないのが難点ではありますが、保険会社が約束を破られるようなトラブルは少ないと考えていいでしょう。
また、市役所などで無料弁護士相談会などを行っていることもあるので、直接弁護士に相談してみても良いでしょう。
犯人が捕まるのを待ち、捕まったのちに賠償請求する
犯人が分かれば、被った損害を請求することもできます。
車をいたずらから守るための予防策
ここまでは、いたずらにあった時の流れについて説明しましたが、一番良いのは被害にあわないことです。ここでは、予防策をお伝えします。
設備投資をする
自宅に防犯カメラを設置する
シャッター付き車庫などでなく、車体をむき出しにして駐車する場合は、監視カメラをつけておきましょう。ダミーでも効果的と言われています。
センサーライトをつける
防犯カメラと合わせて、センサーライトもつけておきましょう。
ドライブレコーダーで録画する
ドライブレコーダーの中には、録画機能が搭載されているものもあります。
犯人の顔が特定されれば、有力な情報となります。
ガレージテントを整備し、格納する
ガレージテントは聞きなれないかもしれませんが、車を守るためのテントです。
車体をすっぽり覆うことができます。
カーポートを整備するよりも、簡単に設置できます。
まとめ
- いたずらの被害にあったとしても、車両保険の補償内になる。
- 保険会社との話が進まないようであれば、損保ADRや法律の専門家に相談を!
- 最新機器やグッズを使って、予防することも効果的
予防策で、いたずらに合う確率をさげることはできますが、自動車を所有している限り、確率をゼロにすることはできません。安心を担保するには、車両保険に入る事が必須です。
もしあなたが車両保険に入っていないのあれば、これを機会に保険の見直しをしてみても良いでしょう。いたずらに備えるだならエコノミー型(車対車+a)でも十分です。
いたずらの被害の場合、全面塗装が必要になるケースも多くあります。犯人が悪意を持って、あなたを困らせようとするからです。
また、犯人が必ず特定される保証はなく、泣き寝入りするしかないケースも多いです。
自分自身を守る行動を起してくださいね。備えあれば憂いなし、車両保険の加入は必須だと考えてください。
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