中古車を購入したり、友人から車を譲り受けたりすると、自賠責保険の名義が前の所有者のものになっているケースがあります。一見「保険金が受け取れなくなるのでは?」と心配になりますが、自賠責保険は名義変更をしなくても基本的には問題ありません。事故を起こしてもきちんと保険金は支払われます。
では、どうして他人名義になっているのに自賠責保険は支払われる仕組みになっているのでしょうか。今回は、自賠責保険で名義変更が必要ない理由を詳しく説明します。
元ホンダディーラー営業チーフ。H24損害保険募集人資格取得。車の販売と損害保険の募集経験あり。事故救援や事故受け付けなどの業務を多く経験しており、自身が追突される事故も数回経験。保険屋しかしらない専門知識や事故対応ノウハウを伝授します。
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目次
自賠責は名義変更しなくても保険金がおりる
自賠責が他人名義になっていると「保険金がおりないかもしれない」と思う方もいるかもしれませんが、そのような心配はいりません。自賠責の名義が誰であれ、その車で起こした事故であれば自賠責保険はしっかりと支払われるのでご安心ください。
他人名義でも保険金がおりるのは自賠責が「車にかかる保険」だから
他人名義でも保険金がおりるのは、自賠責が人ではなく車にかかる保険だからです。保険をよく知らない人は自動車保険(自賠責保険・任意保険)は人にかかる保険だと思っていますが、自動車保険は人ではなく車にかかる保険。つまり誰が起こした事故かというより、どの車で起こした事故かということが重要になるということです。また、自賠責は車台番号(車体番号)によって識別されているので、中古で買った車のナンバープレートを変更した場合にもちゃんと保険金はおります。
車台番号とは?
車体を識別するために、車ひとつひとつに割り当てられた番号。ボンネットの中や運転席のマットの下など、車種によって記載されている場所は違います。
自賠責の保険料はその時の所有者が新車購入時や車検の際に支払うことになりますが、たとえ所有者が移っても自賠責保険はしっかりとついています。お金を払っていないのに保険が付いていることは不思議に感じるかもしれませんが、もし事故を起こしてしまっても保険金はおりるため、無理に名義変更する必要はないと言えるでしょう。
自賠責の名義変更をしないことによるデメリットはないのか?
自賠責の名義変更はしなくても大きなデメリットはありません。
しかし、以下の点には注意してください。
- 手続きがスムーズにいかなくなる可能性はある
- 手放す側は個人情報が知られるリスクがある
手続きがスムーズにいかなくなる可能性はある
ただし、実際に事故が起きた際に、保険の名義と車の所有者と一致していないと、手続きがスムーズにいかなくなることは考えられます。
実質大きなデメリットはありませんが、事故発生時に滞りなく手続きを進めるためにはできる限り名義変更は済ませておくほうが望ましいと言えるでしょう。
手放す側は個人情報が知られるリスクがある
一方、手放す側は、自分の個人情報が知られる可能性があることには注意が必要です。
自賠責保険には、氏名・住所が記載されているのが通常です。情報量は少なくても個人情報であることには変わりありませんので、知人に譲る際にもできるだけ名義変更はしておく方が良いでしょう。
手放す側は名義変更しておくほうが安心
車に乗る側は名義変更しなくても大きなデメリットはありませんが、車を手放す側は個人情報を守る観点からもできるだけ名義変更を済ませておくほうがいいです。
先ほど言ったように、自賠責には氏名や住所などの個人情報が載っています。例えば車を売却すれば、誰かのもとに車がわたることになります。そうした時にこちらの個人情報がバレないよう、車を下取りに出したり売却をしたりする際には必ず自賠責の名義変更をしてもらうように車屋に頼んでおくようにしましょう。余計なトラブルに巻き込まれないためにも、手放す側は名義変更しておくほう安心です。
自賠責保険の名義変更の方法
ここからは、「自賠責保険の名義が自分になっていないと安心しない」という方の為に、自賠責保険の名義変更の方法と必要書類等についてご説明します。
名義変更は自賠責加入の申し込みをした保険会社の窓口で行う
自賠責保険の名義変更手続きは申し込みをした保険会社の窓口で行うことになります。各保険会社の窓口に問い合わせれば、名義変更の手続きは可能です。
しかし、中には買取を行った車屋が勝手にかけている場合もあるため、どこの保険会社かわからないという方もいらっしゃるかと思います。
そのような場合には、車屋に行くのがベストです。自賠責保険をかけた車屋は、その自賠責保険会社の代理店をしている場合がほとんどですので、車屋へ行ってお願いすると、自賠責保険の名義変更が可能です。
必要書類
名義変更に必要な書類は以下の通りです。
- 譲渡する側とされる側の双方の印鑑が押された自賠責保険承認請求書
- 自賠責保険証
- 自賠責保険を譲り渡したことが確認できる書類(例:譲受人になっている車検証など。コピーでも可)
「自賠責保険承認請求書」は各保険会社の窓口から入手可能です。
名義変更の費用は基本無料
自賠責保険の名義変更には基本手数料はかかりません。
ただし、車屋で名義変更をする場合には手数料を取られる事もありますので留意しておきましょう。
自賠責の名義変更は必要なくても車の名義変更は必要
ちなみに、自賠責の名義変更は必要なくても、車の名義変更は必要です。
車の持ち主をしっかりと把握しておかなければ、犯罪などがあった場合に車両から犯人を割り出せなくなってしまいます。また、車には税金が関係してくるために名義変更をする事が義務付けられているのです。
車の名義変更をしないとどうなるのか?
では、車の名義変更をしないとどのような問題が発生するのでしょうか。
税金の問題が発生する
まず考えらるのは、税金の問題です。
基本的に車の税金というのは、車検証上の使用者の欄に記入してある方に対して請求されます。そのため、手放す際に車の名義変更をしないでいると、今後も譲渡人(手放す側)に自動車税の請求がくることになってしまいます。
この場合、譲受人(新しい所有者)に対して税金を払うようにお願いすることになりますが、中には税金を払ってくれないトラブルも発生しています。さらに、税金がいつまでも支払われないと、車検証の所有者の名義口座から差し押さえがされてしまいます。
「そんな横暴な」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、車検証に名前が載っている以上、法的には税金を支払う義務が発生していますので、これはどうしようも無い事なのです。
譲渡人に違反通知が届く
基本的に駐車違反やオービスのスピード違反の取り締まり通知は車の所有者に届くようになっています。つまり、名義変更をしていないと前の所有者に届くことになります。
最悪の場合罰則を食らう可能性もあるので、車の名義変更は絶対に行うようにしましょう。
自賠責の名義が旧所有者になっているのはよくある
「名義変更されていない車にあたるなんて、どうせ友人同士での取引の場合だけでしょ」と思っていると、いざ自分が名義変更されていない車にあたってしまうと、少しびっくりするという方も多いかもしれません。
しかし、自賠責保険の名義変更がされていないという事は多くあります。
例えば、車検がまだまだ残っている車を購入する場合です。
この場合には、前所有者の名前の場合もあれば、車屋の名義になっている事もありますが、この場合もしっかり保険の請求はできますので何も問題はありません。むしろそれが普通だと認識しておくと良いでしょう。
まとめ
- 自賠責保険は名義変更をしなくても保険金はおりる。
- 自賠責は人ではなく車にかかる保険。誰が起こした事故かというより、どの車が起こした事故かということが重要。自賠責がかかっている車であれば誰が運転しても自賠責保険はおりるようになっている。
- 自賠責の名義をそのままにしておく大きなデメリットはない。しかし個人情報保護の観点や今後の手続きのことを考えると名義変更しておくことが望ましい。
自賠責保険の名義が他人名義になっていることでヒヤッとした方もいたかと思いますが、基本的には自賠責の名義変更は必要ありません。大事なのは誰が起こした事故かではなくどの車で起こした事故かということ。自賠責がきちんとかかっている車であれば問題ありませんので安心してください。ただし、自賠責は必要最低限の補償しかされません。自賠責の金額だけではまかない切れないケースはざらにありますので、よほどの事情がない限り任意保険にも合わせて加入しておきましょう。
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