自動車保険に新規加入したり、更新したりするときに提示される「おすすめプラン」。車の使い方や、年齢層も各人でバラバラなのに「おすすめ」とはどういうことなのか。今回はこの辺りを掘り下げていきたいと思います。
大学卒業後、大手損害保険会社に総合職として就職。在職中は営業担当。損害保険会社を退社後、生損保代理店を経営。数多くの自動車保険、事故を取扱う。損害保険全般に精通した知識を活かし、保険の上手な使い方をお伝えします。
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目次
自動車保険の「おすすめプラン」は信じていけない?
自動車保険について調べると、様々なメディアで「おすすめプラン」なるものが紹介されています。また更新時に届く保険会社からの通知にも記載されています。これらはどの程度参考にできるものなのか?誰によって発信されたものなのかによって性質は違うため、情報として扱うには使い分けが必要です。
今回検証するのは以下の3つです。
- 代理店担当者のおすすめプラン
- 保険会社のおすすめプラン
- 情報サイトのおすすめプラン
代理店担当者のおすすめプラン
まずは代理店担当者のおすすめプランです。代理店といっても「プロ代理店」と「ディーラー」では違った見方が必要です。
保険代理店(プロ代理店)の場合
保険代理店の場合、大まかに分けて3つのパターンがあると思ってもよいでしょう。
1つ目は、本当にお客様のことを真剣に考えて設計してくれている場合。ほとんどの保険募集人は良心のもとに仕事をしていますので、お客様のことをちゃんと考えて設計してくれています。例えば、自動車を複数台所有している人だから、代車は必要ないから代車特約は外しておこうなど、その人の自動車の保有スタイルや利用形態をちゃんと理解してくれている場合です。
2つ目は、保険会社のキャンペーンが行われている特約を付けてきている場合です。保険会社は、新しい特約が発売されたときや、売ってほしい特約がある場合に、代理店に向けてキャンペーンを打つことがしばしばあります。キャンペーンといってもそんな豪華な賞品がもらえるようなものではないのですが、何件取ってきたのかによって代理店はランク付けされます。これに命を懸けている代理店が一部いることも否めません。このようなケースでは本当に必要かどうかわからない特約を付けてきていることがあります。しかしながらキャンペーンが行われている時期なのかどうかは消費者は知ることができません。ただキャンペーンの特約が意外と有用な特約であることもあります。特約を紹介されたら説明や内容をよく聞き、自分に必要か不要かを判断するのがいいでしょう。
3つ目は、システマチックに作られたプランです。保険会社のオンラインシステムには自動的にオススメ内容を作成する機能があります。システムに疎い代理店などは、これをそのまま使って提案してくることもあります。注意しなければいけないのは、オンライン上のデフォルトプランには保険会社が売りたい特約がてんこ盛りなケースもあるということ。特約というのは補償を拡大するものであり「つけておいて困る」というものではないのですが、必要のない特約をつけていても意味がありません。保険料とのバランスを重視する方はしっかりとオススメプランの内容を聞き、不必要と判断できるものに関してははっきりと断ることも大切です。
ディーラーの場合
ディーラーの場合、オススメしてくるプランは大体決まっています。「代車特約」と「車両新価特約」です。代車特約はすべての契約につけることができますし、車両新価特約は条件を満たしている車両の場合に車両保険に特約でつけることができます。
なぜディーラーがこの特約を勧めてくるのか、理由は簡単です。事故があった場合に、代車特約があれば有料で代車を貸し出すことができます。また、車両新価特約が付いていれば車両価格の半分を超える修理代が発生した場合は全損扱いになるので、契約者は保険金で同等の新車を購入することができます。新車をどこで買うかといえば、そのディーラーで買うことが多いと思います。つまり、この2つの特約を付けておくことで、ディーラーは契約者に気兼ねなく本業のアプローチも行えるというメリットがあります。
しかしながら家庭に数台の車がある場合は代車特約をつける必要がないケースもあるでしょうし、車両新価特約も必ず必要な特約とは限りません。ご自身のライフスタイルを鑑み、必要と思うものだけつけることが重要です。
保険会社のおすすめプラン
保険会社のおすすめプランですが、これは更新の案内などに掲載されているもの。3つほどプランが掲載されているケースが多いです。
そのうち1つは、「前年度同等条件」となっており前年と同じ内容での内容ですが、残り2つに記載されてくるおすすめプランが曲者です。これらは保険会社側が何とか保険料を上げようと、見かけがよくなるように補償が充実したプランになっています。また、新たに発売された特約など、保険会社が積極的に拡販したい特約などもつけられています。内容が過剰になっているプランがほとんどだと思うので、保険募集人に補償内容をよく聞いてから、必要だと思う特約をチョイスして付帯するのがお勧めです。
情報サイトのおすすめプラン
自動車保険にまつわる様々な情報サイトがあります。そこに書かれているおすすめプランですが、情報サイトは多数の保険会社の情報を扱っていることがほとんどのため、おすすめの特約も各社共通の代表的なものになったり、おすすめプランといっても万人に向けてある程度ちゃんとして補償と認識してもらえるレベルの内容を記載されていることが多いです。各々の保険会社の内容を取り上げて一つづつ解説していたら、読み手も疲れてしまうので情報はある程度絞られていると思った方がいいでしょう。なので、ご自身の自動車の利用スタイルなどにあったものが選べるのかというと疑問符が付きます。情報サイトは、各社の自動車保険を横断的に比較できることがメリットですが、自動車保険を各社ごとに詳しく調べるのにはあまり向いていないことを念頭に置いておくとよいでしょう。
自動車保険のプランはライフスタイルによって「一人一人違う」のが当たり前
自動車保険のおすすめプランは、その人のライフスタイルによって全く違うものになってきます。自動車を複数台持っている人は、代車費用は必要ないでしょうし、古い車に乗っている人などであれば、車両保険はいらないという人もいると思います。そうした意味では、本当の意味でのおすすめプランは一人一人違った形になるはずです。
しかし、上述のように保険会社は自社で販売したい商品(特約など)を「おすすめ」と銘打ち勧めてきます。しかしこれらはあくまでも、販売者側からみたおすすめであって、あなた自身に確実にフィットしたおすすめのプランではないということを念頭においておきましょう。
プロが教える本当におすすめのプラン設定
一般的な回答となりますが、自動車保険の選び方・補償組みの仕方をプロ目線でお伝えすると以下の通りです。
対人・対物保険
対人・対物保険に関しては、デフォルトで「無制限」と考えておいた方がいいです。対人無制限はもちろんですが、対物も無制限にしておきましょう。最近では、車両価格も高額化しており、玉突き事故でも起こそうものならあっという間に、1,000万円オーバーなんてこともありえます。一昔前では、対物は500万円や、1000万円という契約もいくばくかは見かけましたが、現在ではほとんど見ることはないです。対物は無制限にしたところで、保険料はそんなに大きく変わりませんので最初から無制限にしておきましょう。
人身傷害保険
人身傷害保険は3,000万円が最低金額となっています。保険料を安くするために3,000万円にしているかたも以前は多かったのですが、最近では5,000万円以上を付けられる人も増えています。無制限という方もいます。
人身傷害は、過失割合に関係なくケガに関する補償が受けられるのですが、死亡をした場合などは、その人の年齢、職業により逸失利益が計算され、思わぬ高額になることもあります。しかし、保険金額が上限になっているので、3000万円の契約だと3000万円が上限になってしまいます。実際、過去にあった事例ではサラリーマンの方で5,000万円でも足りないということがありました。
また、死亡に至らなくても後遺障害が残り介護が必要になるなんてことも十分にあり得ます。そのような場合は、死亡よりも逆に高額になることもありますので人身傷害保険は最低でも5,000万円は欲しいところです。お仕事をされている方であれば、7,000万円以上が理想です。人身傷害も保険金を上げてもあまり保険料が上がりませんので余裕がある方は引き上げておいてください。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害については、近頃では廃止している保険会社も出てきました。というのも、人身傷害があれば搭乗者傷害保険と補償も重複するので、さほど必要性がないためです。
搭乗者傷害保険は、死亡や後遺障害、または入院や通院をした場合などに、保険金額が定額で支払われるというものです。人身傷害保険がついていれば過失割合に関係なく補償されますので必要ないといえます。昔の名残で、搭乗者傷害が特約として残っている保険会社がほとんどです。
車両保険
車両保険は、自動車保険料においても大きなウェイトを占めているものです。車両保険を付けるかどうかですが、ローンを組んでいる方はつけておくべきでしょう。車両保険を付けていないと、全損になってしまったときは再度自動車を購入することになるので2重ローンとなってしまいます。その場合でも、自損事故程度の修理代なら自分で払えるという人はエコノミ―車両保険で保険料を下げた方がいいでしょうし、修理代も払うのがきついという方は多少高くても一般車両保険にておくべきでしょう。やはり、一時金として高額な修理代が出ていくというのはきついものです。
また、どのタイミングまで車両保険を付けておくかということですが、これは正直個人がどう考えるかです。一般的には、新車から5年間は車両保険を付けておくという方が多いです。5年を超えてくると車両価額が下がってくるので、車両の価値に対する保険料負担が高いと感じる方が多いようです。しかし、車を壊れるまで乗りたいが、事故が起きたときに一時金として修理代を捻出するのはきついという方は、自動車保険料の負担が月々多少高いとしても車両保険はずっとつけておいた方がいいでしょう。
その他特約
弁護士費用特約
この特約は今や必須です。これは逆に外すべきではありません。保険料の負担もさほど大きくありません。しかし、これを付けていなかったために弁護士案件になった際、自腹で弁護士を雇わなくてはならないというのでは本末転倒です。
個人賠償責任特約
この特約は、特に家族で自転車になる方などがいる場合には付けておきましょう。最近では、自転車の事故もちゃんと過失が問われるようになっています。そのような場合に、個人賠償責任特約を付けておけば、示談代行サービスつきで保険金の支払いまで行ってもらえます。またこの特約のみを使用しても、翌年度の自動車保険の等級には影響はありません。
ドライブレコーダー特約
既にドライブレコーダーを付けている方は、次回の車の買い替えのタイミングで検討されてもいいと思います。また、これから自分でドライブレコーダーを付けようとしている方は、保険会社のドライブレコーダー特約を付けることをおすすめします。
保険会社のドライブレコーダー特約であれば、故障や破損をした場合は常に最新の機械が送られてきますし、動画自動送信サービスや、保険会社によっては事故現場駆けつけサービスなどもついており、録画するのみではなく、付帯サービスが充実しています。特に、女性ドライバーや高齢の方などは事故時の安心料だと思って付けてみてはいかがでしょうか。
代理店型とダイレクト型はどう使い分けるべき?
きめ細やかな対応を希望される人は代理店型をおすすめします。もちろんダイレクト型がきめ細やかなサービスが受けられないというわけではありません。しかしながら、代理店型は対面でのやりとりが基本になっていますので、電話だけでのやりとりのダイレクト型よりはいろいろ気軽に相談などできるでしょう。
その分、代理店型は保険料が割高になっています。保険料が高くても、やはり面談でいろいろな対応をしてもらいたいという人は代理店型、逆に面談など細やかなサービスはそこまで要求しないが、保険料を安くしたいという方はダイレクト型をおすすめします。
ちなみに、事故をよく起こして事故慣れしている方がいます。こういう方は事故処理には慣れているからダイレクト型でもいいよ、という人もいますが、過去に事故が多発している方はダイレクト損保社は基本的に契約を引き受けてくれませんので代理店型となってしまいます。
1年契約と長期契約はどちらを選ぶべき?
1年契約と長期契約であれば、迷わず長期契約を選んでください。等級プロテクト特約がなくなった今となっては、事故が発生した場合の等級ダウンと事故有年数を多少でも短くできる可能性のある長期契約を選ばない手はありません。
あえて、1年契約を結ぶとすれば、もうすぐゴールド免許になることが確実な方などは、ゴールド免許になるまで1年契約をしておいて、ゴールド免許になってから長期契約を結ぶことで長期契約のメリットを最大限に生かすことができます。
自動車保険には「各社の特徴」はある?
事故対応
事故対応については、巷間様々なことが噂をされていたり、ネットを調べればいろんな口コミが出てきます。しかし、これらはすべてその人たちの主観であることを念頭に置いておかなければなりません。得てして一般の方は、自分の思い通りにならなかったら、評価の低い記事を書くのは当然のことでしょう。しかし、プロが事故状況を判断してみると判例などに則りおかしなところがなくても、一般の方が納得いかないことは、ままることなのです。
また、個々の保険会社は事故対応に強いなどのお話もありますが、地域性もあり全国的にそうとは限りません。事故対応については、どの保険会社もちゃんと行ってくれますので、地域によってここの保険会社が強い弱いなどはあったにしても、全体を見ればどの会社もそこまで遜色はないでしょう。
ロードサービス
ロードサービスについては各社多少なりとも違いがあります。まず、レッカー搬送で無料補償されるのが搬送距離なのか搬送換算金額なのか、保険会社によって違います。また、ロードサービスを使ってレッカーできる車種も保険会社によって違います。会社によっては、自動二輪や大型貨物やダンプカーなども対象になることがあります。
他にも保険会社による違いとしては、保険会社の事故受付センターを介して手配しないと補償の対象とならない保険会社もあれば、自分でJAFなどを手配しても、領収書をとっていれば後日精算をしてくれる保険会社もあります。これらについては、保険に加入の際に保険会社又は保険募集人の人に確認をしてください。うっかり、自分でレッカー搬送を手配した者の、事故受付センターを介さなけらば対象にならない保険会社だったりすると、レッカー搬送代金は自腹になってしまいます。
特約
特約は一般的に保険会社によって大きな違いはありません。保険会社によって呼び方が違うだけで内容はほぼ同じになっています。その中でも特徴的な違いがあるものといえば、車両保険につける車両全損修理時差額費用特約でしょうか。この特約は車両価額が50万円未満になった場合につけられるものです。保険会社によって、修理時に車両価額を超えても50万円まで補償するところと、車両価額プラス50万円まで補償するところがあるので注意が必要です。また、自転車によるケガの補償を特約でつけられる会社もありますので、自転車に乗る機会が多い方などは検討してみてもいいのではないでしょうか。
まとめ
上記のようにおすすめプランというのは、保険会社が売りたいものをおすすめするプランであることが多いということを頭に置いておいてください。
しかしながら、ご自身の自動車の利用スタイルやライフスタイルに合わせて必要な特約というものも確実に存在していますので、おすすめプランには簡単に乗らずに、自動車保険にはどういった特約があるのかを募集人などからしっかり聞いて、自分に必要なものをチョイスして入ることが重要です。
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