カスタムで高級なタイヤやホイールを装着していると、高級品目当ての窃盗犯に盗まれてしまうことがあります。また、共同の車庫や倉庫で保管中のタイヤが盗まれることもよくあるケースです。こんな時、自動車保険を使って補償してもらうことはできるのでしょうか?
タイヤ盗難は、車両保険に加入していれば補償対象となります。ただし、装着中のタイヤということが条件です。また、保険請求を行うには、タイヤを装着していたことを証明する書類が必要になります。ですから、タイヤ盗難時のことを考えると、タイヤを買った領収書や、そのタイヤをつけていた画像などは残しておくことが望ましいと言えるでしょう。
今回はタイヤ盗難時の自動車保険の使い方について詳しく解説します。
20年以上保険業界に携わってきたFP(ファイナンシャルプランナー)。独自の視点で自動車保険を分析して補償内容を語る一方、事故時の対応や保険の使い方まで広く解説できる長年の経験が持ち味。持論は「事故は損害賠償の問題、保険だけじゃ解決できない」です。
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目次
タイヤの盗難は車両保険で補償される
タイヤの盗難は車両保険の補償対象となっています。一般車両保険(オールリスク型)はもちろん、エコノミー(車対車+A)でも、車に装着されているタイヤは補償対象です。
ホイールの盗難も補償対象
タイヤの盗難と言うと、言葉通りタイヤが盗まれた時だけと思われてしまうかもしれませんが、ホイールごと盗難されたような場合も補償対象となります。
車に装着されていることが条件
ただし「車に装着されているタイヤ」というのが条件です。よく夏タイヤと冬タイヤと使い分けている方もいますが、保管中のタイヤ(ホイール含む)は補償対象になりません。
盗難不担保契約だとNG
この他、保険料節約目的で盗難不担保という内容で契約している方もいます。この場合も車本体だけでなくタイヤの盗難も補償対象にはなりませんのでご注意下さい。
タイヤ盗難で保険を使うと1等級ダウンする
簡単に自動車保険の等級制度をおさらいしますと、保険を使った事故を起こすと、翌年の等級が下がることになりますが、事故には「3等級ダウン事故」と「1等級ダウン事故」があります。ほとんどの事故は3等級ダウンにあたるのですが、タイヤの盗難の場合は1等級ダウン事故扱いで済みます。「自分に非のないような事故」、例えば火災・爆発・盗難・台風・洪水といった事故には救済措置のようなものが設けられており、等級の下げ幅が緩和されているのです。タイヤ盗難もその中の1つということになります。
ただし、1等級ダウンするということには変わりないので、翌年の保険料は上がることになります。事故あり等級という扱いでの更新になりますので、保険を使うなら覚えておきましょう。
保険を使うかどうかの判断基準は?
保険を使用する上で重要なのは、「もらう保険金と、払う保険料とを天秤にかける」ことです。
もしタイヤの値段が、来年以降の値上がり分よりも安かった場合、これでは保険を使う意味はありません。
例えば10等級(45%引き)で年間保険料が10万円だとすると、保険を使うと9等級(22%引き)となって、保険料も約14万円まで上がってしまいます。またもし11等級(47%引き)になれば保険料は9万6千円くらいになるので、使った場合と使わない場合の差額は4万6千円です。もしタイヤがその金額を超える場合は保険を使う意味はありますが、それよりも安い場合は保険を使う意味はありません。
ここは単純に損得での判断で構いません。得なら使う、損なら使わないという事でいいです。ちなみに、この損得の話は保険会社へ請求する際に、保険会社側から説明されるのが通常ですので、遠慮なく保険会社に質問してみるといいでしょう。
車両保険への請求方法は?
では、実際にタイヤが盗まれてしまった場合はどうしたらいいでしょう?初めて保険請求される方もいらっしゃると思うので、保険金請求の流れを説明します。
まずは警察へ連絡する
まずは警察へ盗難届を出すのが最優先です。後々に必要になってきますが、警察が盗難事件として受理すると受理番号という番号が発行されます。この受理番号を取得しないと保険請求が進みませんので、盗難の届出が最優先に行いましょう。
もし犯人が捕まった場合は?
タイヤを盗んだ犯人が捕まった場合、損害賠償や慰謝料を請求できる可能性があります。そうした意味でもしっかりと警察への被害届は出しておきましょう。
保険会社へ連絡する
次に保険会社へ連絡して事故の状況を伝え、受付をしてもらいます。
保険会社からは手続きに必要な内容が説明されますので、受付が終わりましたら準備に取り掛かりましょう。後日保険会社から保険金請求書という書類と必要書類の案内が郵送されてきます。
- 保険金請求書
- タイヤ買い直しの領収書(見積書、請求書でもOK)
- 写真
- 購入時の領収書
写真と領収書の用意が肝心
ここで一番ネックになりそうなのは、写真と購入時の領収書だと思われます。写真とは、盗難されたタイヤ(ホイール含む)を装着している何らかの写真のことで、購入時の領収書は社外品は文字通りカーショップからの領収書、新車購入での純正品であれば車両購入時の書類関係が該当してきます。
写真も領収書も無い場合は保険請求が先に進まなくなってしまいますし、高い社外品だったのに純正品までの支払に抑えられてしまう事もあり得ます。盗難は物が無くなってしまっているので、「ちゃんと装着してた事の証明」は意外と難しいものです。
指定口座への着金
無事請求書類を揃えて保険会社に提出すると一週間ほどで保険金請求書で指定した口座に着金いたします。通常保険会社は5営業日以内に支払をしないといけないルール(保険法)となっているので、着金までは意外とスピーディーに進みますのでご安心ください。
高額なタイヤの場合全額補償されるのか?
ここまでの話を見ると「自分の数十万円で購入したタイヤ・ホイールセットはきちんと全額補償されるだろうか?」と心配になる人も当然いるかと思います。
結論から言うと、注意点さえしっかり押さえれば全額補償されますのでご安心ください。
写真と領収書があることが重要
損害額の全額補償を受けるには、装着を証明できる写真と、領収書があることが条件です。まずは、保険請求の話の中にもあるように、写真と領収書の保管をしておきましょう。写真はスマホで簡単に撮影したもので構いません。領収書は中には捨ててしまった、という人もいるかもしれませんが、カード支払いならカードの明細を取っておくとか、お店になんらかの購入証明書の発行を依頼するなど事前に購入を証明できそうな書類の入手をお勧めします。
保険会社に高額なタイヤを購入したことを連絡しておくと安心
次に、万全を期すなら保険会社へ高額なタイヤを購入した事を連絡して指示に従ってください。
例えば450万の車に50万のタイヤ・ホイールを組んでもさほど問題にならず手続き不要と言われる事が予想されますが、50万の中古車に50万のタイヤ・ホイールを組むと事情が変わってきます。大幅に車両の価値が上がったと見なされ、車両保険の補償額を引き上げる変更手続きをしないと全額補償は危ういものとなります。写真・領収書の保管と保険会社への連絡。これで全額補償が勝ち取れます。
盗難にだけ備える裏ワザ!車両保険の「限定A」とは?
車両保険には、一般型とエコノミー型の2つのタイプがありますが、その他にもタイヤの盗難にだけ備えたい!という時に非常に安価で備えられる車両保険があります。
それが知る人ぞ知る幻の車両保険、車両危険限定Aというものです。
「A」が示す意味とは?
エコノミー車両保険とも呼ばれる車対車+A。よく見ると「この+Aってなんだ?」って思いませんか?
簡単に言えば、車と車の事故に加えてAを補償しますよ、というのがエコノミー型の車両保険です。まだ分かりずらいですね、このA(車両危険限定A)の中身は火災、爆発、盗難、台風、洪水、竜巻、落書き、いたずら、飛来物・落下物の損害を補償をするという車両保険で、タイヤの盗難もこの中に含まれるのです。(今は扱ってる保険会社が無いような気もしますが、過去には限定Bなる車両保険も。)
限定Aだと保険料はどれだけ安くなる?
ホンダのフィットで簡単に車両保険部分だけ計算してみました。(10等級・200万円)
一般車両型 | エコノミー型 | 限定A |
---|---|---|
52,970円 | 24,340円 | 10,380円 |
契約車両の車種など、諸条件で保険料はかなり上下しますので一概には言えませんが、ざっくりと一般車両の半額くらいなのが車対車+A、さらにその半額くらいなのが車両危険限定Aという、そんな感じです。
最近は一括見積など便利なサービスがありますが恐らく限定Aを見積もってくる保険会社はありません。一括見積を利用すると各社の保険料水準が分かりますので、これだ!と感じた保険会社に個別に車両危険限定Aの見積を依頼してみると良いかもしれません。
今後に備えよう!複数の車両保険使い分けと合い見積もりの重要性
同じ保険会社でも車両保険にいくつか種類があるのはお伝えした通りですが、タイヤの盗難に限って言えばどちらの車両保険でも大丈夫です。使い分けとなるとやはり他の要素で検討する事となります。
例えばエコノミー型(車対車+A)の車両保険の場合、河川の氾濫(洪水)では補償を受けられますが、雨によるアンダーパス(道路や線路などをくぐる立体交差)の冠水となると、一般車両は補償OKですが、エコノミー型は不可となってしまいます。
こう見ると、一般車両保険は高いだけの価値は十二分にあるのではないでしょうか。
今後に備えると言う事でいうと、保険料にどれだけ予算を取るかという考え方も重要です。
最近は一括見積サービスのように手軽に幾つもの保険会社の見積が取れますが、どうしても保険料が高いか安いかで比較しがちです。同じ予算ならどうなるか、という考え方をすると例えば5万円の予算でA社はエコノミー車両になったがB社は一般車両保険が付けられた、という事が起こりえます。同じ予算なら保険料の安い保険会社=補償が手厚くできる。という事が言えます。
まとめ
- どの車両保険でも基本的に大丈夫
- 盗難の証明と装着していた証明が必要になる
- 予算から見た各保険会社の比較検討が大事
一般車両保険、エコノミー型(車対車+A)いずれもタイヤの盗難は補償対象です。
装着時の写真、購入時の領収証があれば問題なく補償されます。書類が無い時は保険会社の担当者に相談してみましょう。(何か代案を出してくれることも)
一括見積サービスで保険料水準が休めの保険会社をピックアップ。予算内でどのような補償が付けられるかを比較検討してみましょう。
もしタイヤの盗難をされた場合は、車両保険で補償するのが選択肢となります。ただし、保険を使うかどうかは、来年以降の値上がりぶんと、保険金とを天秤にかけることが大切です。保険金より値上がりぶんの方が高かったら保険を使う意味はありません。そういうところは保険会社が説明してくれますので、まずは自分が加入している保険会社に相談してみるといいでしょう。
また、盗難だけに備える車両保険「限定A」なるものもあります。車両保険は高くてつけたくないけど、盗難や不意打ちのようなものだけ補償されればいいという方には価値があるかもしれません。もし限定Aをつけたいなら、一度ご自分が加入している保険会社で取り扱いがあるか聞いてみてもいいかもしれません。
タイヤに限らず、車関係の盗難被害は多くあります。カギをしっかりかけるなど、防犯面は特に気をつけなければいけません。ソニー損保などは車内のものが盗難被害にあった場合に補償してくれる「おりても身の回り品特約」などを出しています。高級品が盗難されるのが心配な方はそうした特約をつける選択肢も考えてもいいでしょう。
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