一口に自動車といっても様々な種類があります。一般的には軽自動車、普通車などと言われますが、自動車保険においてはさらに細かく細分化されています。今回はその中の「普通貨物車登録」の1ナンバー車についてお話したいと思います。
大学卒業後、大手損害保険会社に総合職として就職。在職中は営業担当。損害保険会社を退社後、生損保代理店を経営。数多くの自動車保険、事故を取扱う。損害保険全般に精通した知識を活かし、保険の上手な使い方をお伝えします。
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目次
1ナンバーが加入できる自動車保険は「最大積載量」で変わる
1ナンバー車が入れる自動車保険は、最大積載量が「2トン以下」か「2トン超」で変わってきます。
- 2トン超の場合=代理店型自動車保険のみ
- 2トン以下の場合=通販型自動車保険に入れる場合も
2トン超の場合は代理店加入が基本となる
1ナンバーの自動車保険は細分化されています。具体的には「0.5トン以下」「0.5トン超2トン以下」「2トン超7トン以下」「7トン超」の4区分です。ここでいうトン数は自動車の総重量ではなく、最大積載量になります。
車検証上の最大積載量の表記がどの区分に該当するかによって分けられています。この中でも2トンを超える場合には基本的に代理店型自動車保険での加入になります。通販会社は現在、2トンを超える貨物車の自動車保険を取り扱っていません。また、自動車保険の車種区分上の自家用8車種に含まれないため、普通乗用車や軽自動車などから車両入替することもできません。
2トン以下の場合は通販型自動車保険に加入できる場合も
逆に2トン以下の場合は通販型の自動車保険に加入できることがあります。これは、2トン以下の貨物車が自家用8車種の中に含まれているためです。自家用8車種に含まれているため、2トン以下の普通貨物車は自家用乗用車と車両入替することも可能です。
1ナンバーの自動車保険は普通乗用車よりも高い
1ナンバーの自動車保険料はどれぐらいになるのか、実際の見積もりを見てみましょう。
見積もり:損保ジャパン日本興亜
補償内容:対人・対物無制限/人身傷害3,000万円(搭乗中のみ)/車両保険なし/弁護士費用特約
条件:運転者年齢40歳/年齢条件35歳以上/運転者限定なし
使用目的:業務使用
支払い:年払い口座振替
ハイエースバン(1ナンバー普通貨物車登録の場合) | ハイエースワゴン(型式TRH214W 自家用普通乗用車登録) |
---|---|
51,410円 | 44,920円 |
上記のように比較してみるとわかりますが、基本的に同じ車でも、自家用普通貨物車として登録されている場合と、自家用普通乗用車で登録している場合では、条件を全く同じにしても貨物車登録の方が保険料が高いのが一般的です。
1ナンバーの自動車保険を安くするなら「車両保険を外すこと」が選択肢に
1ナンバーの自動車保険を安くする方方法としては、「車両保険を外す」というのも一つの方法です。
というのも、貨物車登録をするということは法人契約や、個人事業主としてお仕事で乗ることを想定して車を購入することが多いと思います(たまに、自家用車代わりに貨物車を買われる方もいらっしゃるかもしれませんが)。業務に使うのであれば、自動車が多少傷ついても気にならないという方も多いでしょうし、修理が発生しても修理代は、損金又は必要経費として算入することができます。特にこれらの貨物車は車両本体価格も高い傾向がありますので、車両保険をはずすことによる保険料削減効果は大きいです。
1ナンバーの自動車保険はなぜ高いのか?
1ナンバー車の保険料が高くなる理由はいくつかあります。基本的には以下の通りです。
- 車両が大きい
- 業務で使われることが多い
- 車両価格が高い
車両が大きいから
1ナンバー自動車は一般の小型貨物車や普通乗用車などと比べて車体が大きくなります。そのため、運転時の死角が大きくなったり、小回りが利かず取り回しがしづらいという特徴があるので事故に遭遇する確率が高くなります。
業務で使われることが多いから
貨物車登録の自動車は業務で使われることが多くあります。業務で自動車に乗るということは、日常レジャーに比べて自動車を走らせる距離や頻度が多くなりがちで、これもまた事故に遭遇する確率を高くしています。
そもそも車両価格高いから
普通貨物車はもともとの車両本体価格が高い傾向があります。そのため事故時に支払われる保険金が高額になるケースも多々あり、このことが保険料を押し上げる要因にもなっています。
1ナンバー車は車両保険がつけられない車種も
あえて個人で1ナンバー登録をして乗られる方もいらっしゃると思います。主に、釣りやキャンプなどのアウトドア派の人などは荷物がたくさん載る貨物車として登録されるかたも多いです。
しかしながら、乗用車、貨物車として併売されている車種として代表的なものは、ランドクルーザーやハイラックスサーフ、ハイエース等の人気車種が多数を占めています。これらの車は、どんな過酷な環境でも壊れないように設計されているので、海外では非常に人気が高く、高年式の中古車であっても高値で取引されています。そのため、窃盗団に狙われやすいため盗難リスクが高く、車両保険の料率クラスが非常に高くなる傾向があります。
代理店型ではこれらの車両に車両保険を付ける際にも、保険会社に事前相談をしないと付けられなかったり、通販社ではそもそも車両保険の引き受けを断られる場合もありますので注意してください。また、トレーラーやダンプカーも1ナンバーになりますが、これらの車種についても基本的に保険会社は車両保険を引き受ける際には事前に申請が必要だったり、引き受けを断られることがあります。
法人で10台以上の1ナンバー車を所有している場合は自動車保険のフリート契約が必要
法人で1ナンバーの貨物車の自動車保険を付けることもあると思います。例えば営業に使っているような貨物車です。
法人向けの自動車保険については、10台以上車両を所有していれば「フリート」という等級のない自動車保険、9台以下では「ノンフリート」という一般の等級制度と同じ自動車保険が一般的です。9台以下のノンフリートの自動車保険であっても、法人向け自動車保険において貨物車は年齢条件の設定がありません。これが個人向け自動車保険との大きな違いとなります。営業で使う自動車となると、新入社員からベテラン社員までどの年齢の方が乗るかわからないので車両ごとに年齢を設定することはそぐわないからです。
法人であっても、乗用車登録されている車については9台以下のノンフリートの場合、年齢条件の設定が必要になります。また、余談ですが10台以上のフリート契約になると、乗用車、貨物車など車種に限らずすべてに車において年齢条件の制限がありません。
(関連記事)自動車保険のフリート契約とは?ノンフリートとの違いと割引率について
そもそも1ナンバーの自動車とは?
1ナンバーの自動車というのは、普通貨物車登録が行われた車両のことをいいます。貨物自動車として登録された自動車です。代表的な車種としては、ハイエースやランドクルーザーなどがあります。これらの車は3ナンバーの普通乗用車登録のものもあれば、1ナンバーの普通貨物車として登録されているものもあります。
基本的に、1ナンバーにするためには一定以上の荷室を確保する必要があります。そのため、乗用車登録であれば3列シートのモデルであっても、貨物車登録される場合には3列目を配置することができません。最近ではアウトドアがブームになっていたりして、荷物を多く積むために3ナンバー車をあえて1ナンバー車として登録してしまう方もいます。しかし、3ナンバーを1ナンバーにするメリットは荷室が広くとれるから、ということ以外にあるのでしょうか?それは次にお話しします。
1ナンバーは維持費が安いことがメリット
1ナンバー自動車は、車検を毎年受けなければなりません(新車登録の場合は初回2年)。普通乗用車の場合は2年に1回です(新車登録の場合は初回3年)。車検の時に支払うのが、自賠責保険と自動車重量税です。
例えばハイエースを乗用車登録の場合、自賠責保険料は2年間で25,830円です。一方普通貨物車の場合1年で23,970円ですので、2年に換算すると47,940円です。これだけを見ると、貨物車登録の方が高いことになります。また、自動車重量税については、3ナンバー車だと2年で41,000円、1ナンバー車だと2年で24,600円です。自動車重量税については貨物車登録の方が安くなっており、自賠責と合わせると3ナンバーも1ナンバーもそんなに大きな違いがあるようには見せません。
しかし、一番の差が出るのが、毎年4月1日時点の車両所有者にかかる、「自動車税」です。自動車税については都道府県によって若干の違いがありますが、東京都の場合3ナンバー45,000円、1ナンバーの場合は16,000円と毎年大きな差が出てきます。これが1ナンバー車の維持費が安いといわれるゆえんです(参照:東京都主税局)。
1ナンバー貨物車の車検は毎年必要
1ナンバー貨物車は新車で購入した場合、次回の車検までの期間は2年となります。初回車検以降の車検については1年ごとの車検が必要になります。3ナンバーなどの乗用車登録の場合は初回が3年で、次回以降は2年ですので、車検のタイミングが乗用車登録の自動車との違いになります。
自家用車との車両入替はできるのか?
上でも少し触れましたが、車両入替ができる範囲というのは自家用8車種の分類に入る自動車であれば可能です。自家用8車種とは、軽四輪乗用車、軽四輪貨物車、自家用小型自動車、自家用普通自動車、自家用小型貨物車、自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)、自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)、特殊用途自動車(キャンピング車)となります。この車種群に含まれていれば車両入替をすることで等級を引き継ぐことが可能です。
例えば、軽四輪貨物車から自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)には車両入替ができますが、自家用8車種に含まれない自動二輪から自家用8車種に含まれる軽四輪乗用車には車両入替することができません。
(関連記事)【車の買い換えで必要な自動車保険の手続き】車両入替で保険を切り替えよう
まとめ
これまで見ていただいたように、1ナンバー自動車は、自賠責保険、任意保険についても3ナンバー登録との違いがあります。また、税金などの維持費においても大きな違いがありますので、今ある3ナンバーを改造して1ナンバーにしたい、今度の車の買い替えの車に3ナンバーと1ナンバーの設定がありどちらにしようか迷っているという人は、ご自身の車の利用スタイルをよく検討されたうえで決定することをオススメします。
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