自動車保険などの損害保険は、保険会社が直接お客様に保険の販売をすることはありません(一部大口の特殊な法人契約を除きます)。保険会社と、契約者との間には「代理店」という保険を販売するお店が存在します。それが代理店です。
もちろん自動車保険にも代理店があります。しかし、自動車保険に限って言えば、ディーラーで加入したり、ネットで直接加入したりもでき、一体どこで加入するのがいいのか迷うケースもあるでしょう。もちろんそれぞれには魅力があり、何を重視するかによって利用すべきところは変わってきます。
今回は実際に保険代理店経営をしている私が、自動車保険を代理店で加入するメリット・デメリットについて詳しくお伝えします。
大学卒業後、大手損害保険会社に総合職として就職。在職中は営業担当。損害保険会社を退社後、生損保代理店を経営。数多くの自動車保険、事故を取扱う。損害保険全般に精通した知識を活かし、保険の上手な使い方をお伝えします。
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目次
代理店を通して販売される「代理店型自動車保険」とは?
代理店というのは、保険会社と契約者との間に立って保険を販売するお店のことです。別の業界で例えるとわかりやすく、例えば電気メーカーも商品を直接販売はしません。これと全く一緒で、自動車保険も代理店を通して販売される仕組みが作られています。代理店というとプロ代理店を思い浮かべるかもしれませんが、ディーラーや自動車整備工場も代理店の一部です。これらを通して販売された自動車保険は「代理店型自動車保険」と呼ばれています。
代理店型と対にある「ダイレクト型自動車保険」
最近では「代理店型」の対義語として「ダイレクト型」という言い方をする自動車保険があります。俗に「通販型自動車保険」と呼ばれるもので、ネット申し込みを通じユーザーと直接契約をするので、間に入る代理店が存在していません。代理店が介在しないということは、代理店に払うべき保険販売の手数料が必要ありませんので、その分保険料を安くすることができます。これがダイレクト型保険の安さの秘密です。
代理店型自動車保険は高いが、手厚い顧客対応・事故対応に強み
代理店型自動車保険には保険料が高いというデメリットがありますが、そのぶん通販型自動車保険よりも手厚い顧客が期待できるという強みがあります。これらは代理店型と通販型のどちらを選ぶかの判断材料になりますので、しっかりと理解しておくといいでしょう。
デメリットは「保険料が高い」こと
代理店型自動車保険の一番のデメリットは「保険料の高さ」です。しかし、保険料が高くなっているのには理由があり、それに納得できるかできないかでメリットにもデメリットにもなりうるため、その仕組みを理解しておくことが重要です。
保険料が高いぶん手厚い事故対応と顧客対応に強み
代理店販売を展開している自動車保険損保は、全国津々浦々に拠点(カスタマーセンター)を持っており、事故の際には最寄りの拠点スタッフが対応してくれます。これがかなり重要であり、重大事故等で相手と面談が必要な場合でもスピーディーに動けますし、地域性等も考慮したきめ細やかな事故対応も期待できます。
初期対応時間も通販型は深夜や早朝には対応していないことがほとんどですが、代理店型の場合は24時間対応をしている損保のほうが多いです。
保険会社 | コールセンターの初期対応可能時間 |
---|---|
ソニー損保 | 0:00~20:00 |
SBI損保 | 9:00~19:00(土日祝は17:00まで) |
アクサダイレクト | 9:00~19:00 |
チューリッヒ | 9:00~20:00 |
イーデザイン損保 | 9:00~20:00 |
三井ダイレクト | 9:00~19:00 |
セゾン自動車火災 | 9:00~17:30(土日祝は17:00まで) |
保険会社 | コールセンターの初期対応可能時間 |
---|---|
東京海上日動 | 24時間 |
三井住友海上 | 9:00~22:00 |
損保ジャパン | 24時間 |
あいおいニッセイ同和 | 24時間 |
そもそもスタッフの人数が通販型自動車保険とは大きく違いますので、緊急時の対応の迅速性にも差が表れます。例えば地震や豪雨といった災害発生時には多くの保険利用者が発生しますが、その際にもスピーディーな対応が期待できるのは代理店型のほうです。
また、代理店型は対面で契約することができますので、わからないことなどはどんどん質問して納得できるまでお話を聞くことも可能です。言葉だけではなかなか伝わりにくい特約などは図などを使って説明を受けると理解が深まるのではないでしょうか。
代理店型自動車が高いのは「付加保険料」がかかるから
なぜ代理店型自動車保険は高いのか?それをお話しする前に保険料の仕組みを理解していただく必要があります。
自動車保険の保険料はどのような構成になっているかといえば、「純保険料」と「付加保険料」に分かれています。純保険料というのは、契約者から預かった保険料のうち、将来の事故の保険金支払いに備えて保険会社が積み立てておく保険料です。付加保険料とは、保険会社の人件費や物件費などの経費、代理店に対する手数料分です。
通販が安い理由がここにあります。通販は、人件費などの付加保険料の部分の経費をぐんと抑えることができるため、安いのです。
全国に拠点を設けている分、スタッフ等の人件費・設備費にもコストがかかっている
代理店型を採用している保険会社は全国に拠点を構え、きめ細やかな事故対応などのサービスを行うため、各拠点への人員配置や代理店への手数料に経費が掛かってしまうため保険料が通販に比べて高くなってしまいます。
しかし、その分サービスの質という意味では高品質になります。大きな事故を起こしてしまって相手への迅速な初動対応やケアが必要となるような場合、事故の相手方の現地で対応してもらえるというのは非常に心強いです。必要があれば、保険会社の社員が相手に面談でお話しに行くこともあり、顔の見える相手と話すことで、示談の解決もスムースに進むことが多いです。
通販型はどうしても電話での対応がメインになってきますので、顔が見えない相手とお話をしても話し合いが平行線で示談までなかなかこぎつけられないということも往々にしてあるのも事実です。
代理店にも種類があり専門性が違う
一口に代理店と言っても様々な種類があります。
まず、代理店の1つ目の分類としては、代理店業を専業でやっているか兼業でやっているかで、専業代理店、兼業代理店といった言い方で分類されます。専業代理店を俗に「プロ代理店」といいます。
2つ目に、1社専属の保険会社を取り扱っているか、または、複数の保険会社を取り扱っているかにより、専属代理店、乗合代理店といった分け方をします。これら2つを組み合わせた呼び方で代理店は分けられます。
例えば1つ目の分類で専業、2つ目の分類で1社専属の代理店を「専属専業代理店」といいます。このような分類の仕方で、「乗合専業代理店」「専属兼業代理店」「乗合兼業代理店」などと呼びます。
それぞれに専門性の違いや特徴がありますので、ご自身に最も合った代理店を選ぶことが大切です。一つずつ解説していきましょう。
①「専属専業代理店」は自社で扱う保険商品の知識がかなり深い
「専属専業代理店」ですが、その名前のとおり専業ですので、保険についてしくじってしまうと後がないため専門性は本当に高いです。さらに専属ですので、1社の取扱いです。1社の取扱いということはその1社について深く勉強したり研修を受ける時間があるので大変詳しい方が多いです。自動車保険は同じような特約でも保険会社によって微妙に内容が違ったりしますが、1社専属の方は自社の保険に本当に詳しい方が多いです。中には約款を読み込むのが好きなんて方もいるくらいです。
このタイプの代理店に入っている人は、その代理店の営業マンの人柄や力量などの厚い信頼で入っており、多少高かろうが他に目もくれないという方が多いです。もしくは全く逆で、自分で複雑な自動車保険をあれこれ考えたくないので信頼している人から自動車保険を買いたいという方もいらっしゃいます。
②乗合専業代理店は保険商品を比較提案するのが得意
「乗合専業代理店」ですが、こちらも同じく専業ですので専門性は非常に高いです。乗合ですので、保険料は補償内容の違いなどにより複数の保険会社の自動車保険のプランを提案してくれたりしますので、いろいろ見てから決めてみたいという方には非常におすすめです。
総じて、専業系の代理店がお勧めの方は、自動車保険でなく、火災保険、傷害保険、生命保険など、自分の保険を詳しく教えてもらい、すべて面倒を見てもらいたいといったような方です。
③ディーラーや整備工場などにみられる専属兼業代理店
「専属兼業代理店」は中小の自動車整備工場や自動車販売店などでよく見かける形態です。自動車整備しているので保険も扱うといった感じです。もちろん、保険の研修等は受けていますので事故時の対応に問題があるということはありません。しかし、自動車保険に特化しているので他の保険についてはあまり詳しくないといったこともあります。
自動車の整備や車検をいつも任せているところで、自動車関係のことはすべてお願いしたいといった方に向いている代理店です。
④ワンストップ対応が魅力の乗合兼業代理店
「乗合兼業代理店」は大型の自動車整備工場や、自動車ディーラーなどが当てはまります。こちらは、自動車の整備や営業の人が保険募集人を兼ねていることもありますが、大規模な店舗になると保険専任の担当者を配置しているところもあります。なかには、自動車保険だけでなく専業代理店のように色々な保険を取り扱っている場合もあります。
自動車保険だけでなく、自動車の買い替えや整備、車検など自動車関係のことをすべてワンストップで行いたいという方に向いている代理店です。
代理店型自動車保険がオススメな人
自動車保険について分からないことがあったら気軽に聞いてみたい。自動車保険のお得な掛け方を向こうから案内してもらいたい。また、じっくりと自動車保険の説明を受けたい。事故があった時は、面倒な手続きをすべてやってほしいなどの希望がある方は代理店型自動車保険は向いています。
代理店型自動車保険は間に人が介在していますので、何でも聞けますし、こちらのこともよく知っているので自動車の保有台数や状況に合わせてお得な自動車保険掛け方の提案なんかもしてもらえます。もちろん事故のときには、自動車保険のプロとして保険会社と連携し対応にあたります。
ここで一つ覚えておいていただきたいのは、保険代理店には示談交渉権はありません。示談交渉をするのはあくまで保険会社です。時々、代理店が示談交渉をするものと思っているかがいますが、代理店が示談交渉をすることは法律違反であり、行うことができないことを覚えておいてください。保険代理店とは、保険会社と契約者の間に立って動く存在です。
代理店自動車保険を実際に使っている人の口コミ
ここで代理店型自動車保険に実際に加入している(していた)方々の口コミを紹介します。
いい口コミ
親身になって相談にのってくれた
保険に入るとき、とても親身になって相談に乗ってくれました。事故の際は現場までかけ付けてくれて、どうしていいのか分からなかった私に代わって相手と話をしてくれたり、現場での事故処理をてきぱきとこなしてくれて不安を払しょくすることができました。
自分の代わりにいろいろと動いてくれた
過失相殺の割合でどうしても納得のいかない事故だったのですが、保険会社との間に入ってこちら側の考えを的確に伝えていただき、最終的には自分の納得のいく過失割合で解決しました。通販型であれば、自分でいろんなことを保険会社に説明しないといけないのですが、おそらく専門的なことはうまく説明できず今回のような結果にはならなかったように思います。ありがとうございました。
相手被害者に誠心誠意対応してくれた
大きな事故をして、被害者も大けがをしたのですが、代理店さんが保険会社と連携していただき、相手の方の納得のいくお話をしていただけたようで、被害者にお見舞いの電話をしたときに、いいところで保険に入られましたねと相手の方に言われました。それを聞いた時、この代理店さんに入ってて本当に良かったなと思いました。
悪い口コミ
ないがしろにされている感じが…
もうここ何年も代理店の担当者の顔を見ていないです。自動車保険の継続も毎年電話だけで済まされて、なんか蔑ろにされているのかなって感じてしまいます。運よく事故は起こしていないのですが、事故を起こしたらどんな対応をされるのだろうと思うと不安になるので、事故を起こす前にいい代理店を見つけて乗り換えようと思っていま
す。
手続き忘れなど最悪の対応だった
事故を起こしてしまったのですが、代理店が間に全く入ってくれず、結局自分が保険会社とすべてやり取りをしました。仕事中にも電話がかかってきて応対しきゃいけないし、専門的なことを言われても分からないし、自分に不利なように誘導されていないかどうかも素人だから分からないし不安だらけでした。これだったら、通販型の自動車保険と変わらないなと思い、次の継続の時に代理店を変えました。
自動車保険の内容の変更を連絡して、代理店もこのお電話で受付しましたといってくれたのですが、翌年の継続の時に内容が変わっていなくてびっくりしました。電話で受け付けてそのあとの手続きを忘れていたみたいです。年齢条件のを26歳から35歳に変更する手続きだったので、事故の時に保障されないということはなかったのですが、余計な高い保険料を払わされていたと思うと嫌な気分になりました。
いい代理店を見つけるには「カスタマーを知ろうとする姿勢」があるかどうかで判断する
保険というものは、一般的な商品と違って、自動車保険に加入した時ではなくて事故が起きたときに本当の商品価値を発揮します。もちろん、加入段階でどのくらいまで補償される自動車保険に入っているかにもよります。
いい代理店というのは、お客様のことをよく知ろうとします。例えば、自動車保険に加入する際に家族構成を聞いたり、他に家族が乗っている自動車がないかなど聞いてくることがあるかと思います。こういった質問をしてくる代理店はお客様の情報を知ろうとしている代理店ですので、いい代理店と言えるでしょう。もちろん、家族の所有している自動車の保険をもらいたいという気持ちはあると思いますが、よく知ることによって、内容が本当にその人や家族の自動車の利用状況にあったものになっているか、また補償が重複して無駄に保険料をはらっていないか、また、家族の自動車保険をまとめることで自動車保険は安くなることを教えてくれたりと、いろいろな情報を提供してくれるはずです。こういった代理店は、事故の際も親身になって相談に乗ってくれますし、いざというときの連絡もつきやすい傾向があります。プロとしての意識が高い証拠です。
逆に、自動車保険に1台入ってそれで終わり。あとは何も聞いてこない。こういった代理店は、そういった情報を得ようと努力をしていないことになりますので、お客様にもいろいろな情報提供をしてくれることは少ないでしょう。
毎年の更新時にはスタッフと補償内容を確認することが重要
代理店で保険を掛けるときに最も気を付けておくべきなのは、保険契約の継続のときです。代理店で保険を付けている場合、代理店はお客様のことをある程度知っていることがほとんどです。契約の継続のときに、「今まで通りの内容で継続しておきますね」などといって、内容の確認をしてこない場合は注意してください。実際に、自動車保険での苦情で上位にランクインしているのが上記のような契約の継続をして事故を起こしたときに、ちゃんと補償されなかったというものです。契約者の生活環境や、家族構成などは時間の経過と面に変化していくものです。それに合わせて自動車保険の内容も変えていかなければいけないので、継続の際も詳細な説明が本来は必要なのですが、残念なことに「前年度通りでいいですか?」ということだけ言って説明をしっかりしてくれない代理店がいるのも実情です。これは代理店型自動車保険は契約者との距離が近いがゆえに起きる弊害でもあります。
現在は保険業法でも説明義務というものが課されていますので、代理店が上記のような文言で継続手続きをしようとした場合は、代理店に保険内容の説明を求めてください。それでも説明してくれない代理店とは契約しない方が無難です。
まとめ
- 保険代理店やディーラー、自動車整備工場など、「代理店」を通して販売される自動車保険を「代理店型自動車保険」という。
- 保険料の高さが弱点ではあるが、手厚い事故対応、顧客対応は通販型よりも優れている。特に初期対応時間が長いこと、事故対応拠点が多いことは通販型と違う点である。
- 代理店にも4つの種類があり、それぞれ専門性が違う。知識があり専門性が高いスタッフのサポートを受けたい場合はプロ代理店で加入することが無難。
- 自動車保険初心者、または手続きの手間を省きたい人は代理店型自動車保険のほうが向いていると言える。逆に保険料を抑えたい人は通販型自動車保険が選択肢となる。
ひとえに代理店型自動車保険といえども代理店により品質の違いがあるのは否めません。しかしながら、一昔前と違い現代の代理店はプロ意識をもって仕事に臨んでいる方が大多数です。質の低い代理店はここ20年ほどの保険自由化の中で淘汰されてゆきました。
やはり、代理店型自動車保険のメリットとしては契約者のことをよく理解した顔の見えるきめ細かな対応をしてくれることに尽きると思います。安さというのも確かに重要な要素ですが、自動車保険の真価は事故発生時に発揮されるものです。こういったこともあり、代理店型自動車保険はいまだに大きなシェアを握っているのです。
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