自動車保険の節約テクニック

【自動車保険のムダをなくす方法】プロが教えるチェックポイントとは?

自動車を所有している方は自賠責だけでなく任意保険にも加入していると思いますが、その内容をきちんと理解して加入していますか?ひょっとしたらムダな補償まで付けていませんか?

自動車保険はプロの中でも「複雑」と言われる保険です。内容をきちんと理解しないと、知らず知らずのうちに「ムダな補償」をつけているかもしれません。

今回は補償のムダについてお話したいと思います。

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補償の重複?保険の設定?自動車保険の「ムダ」をなくそう!

自動車保険は「補償の限度額や範囲」を自由に決めることができる保険です。限度額が高いほど保険料は高くなり、低いほど安くなる。保険としてはごく当たり前の仕組みです。

では、「補償のムダ」とは一体なんでしょうか。

大きくは2点。

  • 補償の範囲に重複が発生している
  • 適正な保険の設定がなっていない

こうしたことに気づかず、ムダな保険料を払っている方は大勢います。実際に、様々な方の自動車保険の証券をみますが、無駄な補償や内容を付けているケースは多いです。しかもそれが無駄であると本人は気付いていなかったり、無駄であることを誰からも教えてもらっていなかったり。

払う必要のないお金を払うことほどムダなものはありません。自動車保険は「複雑」とは言われますが、内容をきちんと理解し、無駄のない補償プランを組見立てることが重要です。

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自動車保険のムダを見つけるにはまずは「保険証券」をじっくりチェック

自動車保険のムダをなくすなら、自動車保険の証券をチェックするところから始めます。複数台の自動車を持っている方は、全ての自動車保険の証券を用意してください。1台だけの場合はその証券を見ていたければいいのですが、複数の自動車を持っている方は全ての自動車の保険証券を同時に見ることでムダが見えてきます。

1台所有の人は「保険の設定」を要チェック

所有が1台の場合は補償が重複していることはまずありませんが、年齢条件や運転者の範囲、また車の使用区分などを適切に設定できてないケースは多々あります。ご自身のライフスタイルや乗り方に合った自動車保険になっているのか、もう一度考えてみましょう。

複数台所有の人は「補償の重複」がないかも合わせてチェック

複数の自動車保険をかけていると、補償が重複していることが多々あります。

自動車保険は1台ごとにつけるものですから、各々の自動車に必要な補償をつけていくものなのですが、特約によってはどれか1台で家族全員をカバーできるもののあるため、全部に付けなくていいものも存在します。

そのような特約を絞っていくことでムダな特約を外し、合理的な保険料にすることが可能です。

ムダをなくす方法①適正な保険設定を行う

代理店などから継続の案内があると「前年どおりで大丈夫です」と、内容をろくに見ずにそのまま継続している人が結構いますが、補償にムダを生む原因となります。

自動車保険は家族構成やライフスタイル(車の使用方法)によって変えていくべき保険です。自分の家族構成の変化や自動車の利用形態の変化などを代理店に伝えていないと、代理店はそのよう事情は知りませんので、それに合わせたアドバイスもできません。もし代理店を通して保険加入をしているなら、担当者には生活で変わった点は積極的に伝えるようにしましょう。

基本補償においては具体的には以下の項目をチェックしてください。

  • 運転者の年齢条件
  • 自動車の使用目的
  • 車両保険の補償範囲

運転者の年齢条件

年齢条件を変えると保険料が変わります。

  • 全年齢(20歳以下)
  • 21歳以上
  • 26歳以上
  • 30歳以上
  • 35歳以上

保険会社や保険種類によって若干の違いはありますが、上記のようにいくつかの年齢区分があり、何歳の方が車を運転される可能性があるかにより年齢条件を設定します。

年齢条件は、年齢が上がるほど保険料は割安になっていきます。免許を取ったばかりの18歳が運転できる「全年齢」より、ベテランに限定する「35歳以上」の方が保険料は安いです。

年齢条件に「別居の家族」は含めなくていい

この年齢条件では「同居の家族の年齢条件」に合わせることがムダをなくすポイントとなります。

今まで35歳以上の年齢条件で契約していたにも関わらず、子供の免許取得をきっかけに「全年齢」や「21歳以上」へ条件変更されるケースはよくあります。同居の間はそれでいいのですが、お子さんが県外の大学に行ったため別居となったとか、結婚して別世帯となったとか、そうした場合にまで年齢条件を変更する必要はありません。

年齢条件は、「同居の親族」で最も若い運転者に適用されるので、別居になった段階でお子さんはその条件からは外れます。たまに帰省してきたお子さんが自動車を運転する程度なら、親に合わせて「35歳以上」に設定していても、補償の対象になるのです。

ここで注意いただきたいのが、「本人・夫婦限定」や「家族限定」の特約を付けていると、別居の人は補償対象から外れるということ。「家族限定」は別居の未婚のお子さんなら対象になりますが、結婚をして住居が別になったお子さんは対象外です。こうした方が運転するような場合は運転者限定を外しておいてください。

自動車の使用目的

自動車の使用目的を「日常・レジャー使用」「通勤・通学使用」「業務使用」で設定をする自動車保険があります。保険料は「日常・レジャー使用」が最も安く、「業務使用」が最も高くなります。

「業務使用」は読んで字のごとく、仕事で自動車を利用している場合です。

「通勤・通学使用」は、通勤や通学で自動車を利用している場合はもちろんですが、自宅の最寄り駅まで通勤や通学のため家族を送迎している場合もこれに含まれます。

「日常・レジャー使用」は、上記2つの利用目的に合致しない場合になります。

月15日未満の使用なら「日常・レジャー」でOK

「通勤・通学使用」「業務使用」については、1年を平均して月に15日以上その目的で利用しているかが目安となります。例えば、普段は通勤や通学に使わないが、雨の日だけ自動車を使って通勤、通学しているような場合は「日常・レジャー使用」で大丈夫です。

今まで通勤で自動車を使っていたが、今は引っ越して電車で通勤しているような場合は、使用目的を見直すことで保険料のムダを省くことができます。

しかし、逆もありえます。これまで通勤で車を使わなかった人が最近は車で通勤しているという場合は、「日常・レジャー使用」から「通勤・通学使用」にしておかないと事故の際に、差額の保険料を追加で徴収されたり調査が入ったりなど、手続きが煩雑になり保険金の支払いに時間がかかる場合があります。使用区分の申告は正確に行うよう注意してください。

車両保険の補償範囲

新しい自動車に乗っている方は特に考える必要はないかもしれませんが、古いお車に乗られている方は車両保険を見直すことによってムダが省けるかもしれません。

古い車に車両保険はそもそもいらない

車を買い替えたときから惰性でずっと車両保険をかけている人も多いでしょう。しかしよく考えてみてください。今乗っている古いお車、事故をしたときに本当に修理しますか?廃車にしてしまおうと考えてはいませんか?

古いお車の場合、車両保険の保険金額は新車価格の1割がいいところでしょう。車両保険は保険料の高い補償ですので、外すことで保険料をかなり抑えることができます。新車価格の1割の補償のために保険料を払っており、なおかつ事故をして車両が壊れた場合は買い替えを想定されている方は外してもいいです。

もちろん、車両保険を付けていれば少額にしろ車両保険金は受け取れますので買い替えの際のお金の足しになるかもしれませんが、その車両保険金を受け取るためには事故扱いとなり3等級ダウンしてしまうため、次年度の保険料はかなり上がってしまいます。少しの保険金を受け取るための3等級ダウンという費用対効果で考えると、そのような場合は保険を使わない方がほとんどなので、使う確率が極めて低い補償に保険料を払うことはやめておきましょう。

自損事故の補償がいらない人はエコノミー型でもOK

車両保険には「一般型」の他に「エコノミー型」というタイプもあります。簡単に言えば自損事故では補償されないタイプです。

もし保険料が気になるようであればエコノミー型への切り替えで保険料は安くなります。

  • 自動車:フィット(型式DBA-GK3)/初年度登録日:2018年9月/使用目的:日常・レジャー/距離区分:4000-4999km
  • 記名被保険者:31才男性/ゴールド免許/6s等級(新規)
  • 補償:対人・対物補償無:制限、人身傷害:3000万円、搭乗者傷害:なし
  • その他:家族限定特約なし/ファミリーバイク特約なし
エコノミー型 一般型
アクサダイレクト 31,450円 35,940円
SBI損保 37,540円 45,150円
おとなの自動車保険 54,580円 62,700円
ソニー損保 62,310円 73,850円

このように10〜20%ほど保険料をカットできるため、自損事故での車の補償はいらないという方はエコノミー型への切り替えでムダを省きましょう。

ちなみに、エコノミータイプは自損事故の他に、「当て逃げ」「自転車との接触」も対象外になるのでご注意を。

ムダをなくす方法②補償の重複をなくす

自動車保険証券をよく見ていただき、ムダに特約を付けていないかチェックしてみてください。

重複がしやすい特約

重複しやすいのは以下の通りです。

  • 弁護士費用特約
  • 人身傷害車外事故担保特約

弁護士費用特約

弁護士費用特約は家族が所有している自動車のどれか1台につけておけば、同居の家族と別居の未婚のお子さんについては補償されます。複数台自動車を所有されているご家族であれば、メインとなる自動車を決め、それ以外の自動車から弁護士費用特約を外すことで保険料の削減ができます。

だたし、自営業の方など、業務で従業員(家族以外)の方も使用する自動車を複数所有している場合が、すべての車に付けておくことをオススメします。従業員は家族ではないため、弁護士費用特約が付いていない自動車で万が一事故を起こした場合には、弁護士費用特約をその従業員は使うことができないためです。

人身傷害車外事故担保特約

「人身傷害保険」は契約車両に搭乗中のケガや死亡を補償する内容ですが、この特約を付けることにより、歩行中にはねられて負った怪我や、他人の車に搭乗中巻き込まれた事故でも保険が使えるようになります。

こちらの特約も、メインの自動車1台につけておけば、同居の親族・別居の未婚の子は補償の対象になりますので、複数自動車をお持ちの方は、他のお車から外すことで保険料を節約することができます。ちなみに、人身傷害のみの保険使用については、事故としてノーカウントになりますので翌年度の自動車保険の等級は下がりません。

ムダをなくす方法③自動車を複数台持っている人は、契約を1つにまとめる

家族で自動車を複数台所有しているという方は、自動車保険を1つにまとめてみましょう。バラバラについていると、今まで説明をしたような補償の重複があるのかどうかもわかりにくいですし、まとめることによって得られるメリットもあります。

例えば、保険を1つの会社にまとめることで「ノンフリート多数割引」という割引が適用されます(台数によって異なる)。また、月払いで保険料を支払っている方でも分割割増という5パーセントの割増がなくなります。

ムダをなくすとはちょっと意味合いが違いますが、節約効果はありますのでおすすめしたい方法です。

保険料が気になる方は割安の「ダイレクト型自動車保険」への乗り換えもアリ

今加入している自動車保険が高いと感じる方は、ダイレクト型自動車保険に乗り換えるのも一つの手です。

ダイレクト型(ネット通販型)の自動車保険は、代理店を通さない分保険料が割安になります。

以下はひとつの例ですが、数万円単位で保険料がカットできることがわかるはずです。

【補償条件】
・本人情報 25歳 / 男性 /ゴールド免許
・車両情報 フィット(ホンダ)/9等級
・補償内容 対人:無制限 / 対物:無制限 / 人身傷害:3000万円 / 搭乗者傷害:1000万円 / 車両保険:あり(一般型)/ 本人限定 / 21歳以上補償
・その他 弁護士費用特約

損保ジャパン 126,660円
三井住友 129,930円
東京海上 118,200円
SBI損保 58,340円
チューリッヒ 60,820円
ソニー損保 88,880円
セゾン自動車火災 77,930円
三井ダイレクト 74,290円
イーデザイン損保 79,590円

基本的には電話やネットでの対応になりますが、自動車保険の補償内容やロードサービスは大手の代理店型自動車保険と変わりありません。

ご加入時の補償内容の相談についても、専門のオペレーターと打ち合わせることができますのでムダなところがないか聞けば丁寧に教えてくれます。

過去の事故歴や年間走行距離など、契約の条件によっては保険料を大幅に下げることも可能です。

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見直しを勧められてもそのままにしておいた方がいい特約がある?

2種類ある「地震・噴火・津波による車両保険特約」

車両保険を一般条件で付けている方は地震・噴火・津波に関する特約があるか保険証券をよく見てください。ちなみに、エコノミー車両保険(車対車+A)の方や車両保険を付けていない方はこの特約は付けられないので対象外になります。

車両保険に、地震・噴火・津波の特約を付けている方、特約の名前の最後に「一時金」という言葉は付いていますか?地震・噴火・津波関連の特約には「地震・噴火・津波特約」と「地震・噴火・津波全損一時金特約」の2種類があります。「地震・噴火・津波特約」は昔から売られていた特約で東日本大震災以降は販売中止となり、それに代わる形で「地震・噴火・津波全損一時金特約」が発売されました。

この二つの特約の補償内容の違いは、「地震・噴火・津波特約」は地震や津波、火山の噴火により自動車が損害を被った場合、車両保険金額を上限に保険金が支払われます。「地震・噴火・津波全損一時金特約」は、地震や津波、火山の噴火により自動車が全損となった場合、50万円を上限に契約している保険金が一時金として支払われます(車両保険が50万円を下回っている場合はその金額となります)。

例えば、300万円のお車に「地震・噴火・津波特約」がついている場合は、被った損害額を300万円を上限に保険金が支払われ、「地震・噴火・津波全損一時金特約」の場合は全損になった場合一時金として50万円が支払われるという違いがあります。

特約を見直しましょうと言われても契約を続けるなら変えないほうがいい

実は、昔からある「地震・噴火・津波特約」は特約保険料も非常に安く補償内容もいいのですが、保険会社が積極的に販売していなかったため付けている人は1~2パーセント程度と言われています。一方、「地震・噴火・津波全損一時金特約」は東日本大震災を契機に販売開始され、保険会社も積極的に販売しています。

「地震・噴火・津波特約」を現在付けている人は、既得権益でこれからも同じ保険会社で継続する限り付けることができます。また、車を買い替えても付けることができます。今後付けたくても付けることができない特約なので、見直しを勧められてもこの特約は付け続けることをオススメします。保険会社を乗り換えたいという方は新たに契約する保険会社で、「地震・噴火・津波特約」を付けることはできませんので、「地震・噴火・津波全損一時金特約」を付けることになります。

自動車保険のムダを見直した人の口コミ

自動車保険をまとめたら安くなった

地方に住んでいるので家族一人一台自動車があるのですが、全員バラバラに自動車保険をかけていました。ちょうど息子の自動車保険の満期が近くなった時、息子がお世話になっている代理店さんから、家族でまとめると安くなるという話を息子が聞いてきたようで早速見積りをお願いしました。
家族3台まとめて契約しましたが、補償は下げていないのに保険料がぐんと下がり驚きました。いままでムダな保険料を払っていたんだと実感しました。

補償の見直しをお願いしたらムダを見つけてくれました

結婚したので、主人の契約している保険担当の方に私のも見てほしいとお願いしました。
その担当者は、私が主人と結婚して同世帯になるので、この補償は私の保険から外しても大丈夫なこととか、結婚を機に退職し専業主婦になったので、自動車の使用目的を変更すると安くなることとかアドバイスいただき満足できる内容で保険料を抑えることができました。

いわれるがままに更新していたらムダだらけだった

毎年、保険担当者に言われるがままに更新していました。よく分からないことも何となく聞き流していた私もいけないのですが、いろいろと要らないものがついていたり、自分の自動車の使い方と違った内容になっていたり。
代理店を変えたときに、担当者の方が詳しく説明してくださり、どの部分が今の利用形態と違っていて、ムダで削ってもいいところなのかを教えてくださいました。代理店を信用することも大事ですが、分からないことはちゃんと聞かないといけないなと実感しました。

ムダを見直すときに注意したいこと

自動車保険のムダを見直すときは必ず自動車保険のプロの人に見てもらうようにしてください。素人判断で、外してしまったりするといざ事故のときに補償されなかったなんて言うことになりかねません。

また、プロの人に相談をするときには、家族で所有している自動車の台数(保険証券を見せてあげるのがベストです)、自動車の使用目的、また、自動車に乗る可能性がある人の範囲や年齢といったことはこちらから情報提供してあげてください。自動車保険の専門家であればこのくらいのことは向こうから聞いてくるのが当然ですが、中には聞いてこない方もいるかもしれません。これらの情報はお客さんから聞かないとわからない情報ですので提供してあげてください。この情報を提供するだけでも相当なムダを省くことができる可能性があります。

補償の重複や補償の内容のムダについては専門家ですので、すべてを見たうえでアドバイスをしてくれます。なお、その時に分からないことがあればどんどん質問してみましょう。なぜ必要ないのか?ということを、自分が納得するまで聞いておかないと、後々トラブルになる可能性も否定できません。

まとめ

まとめ
  • 基本補償で今の自動車利用形態に合った保険になっているか
  • 特約が重複していることはないか
  • 必要ない特約は見直すことで保険料を下げることができる
  • 自動車を複数持っていれば自動車保険をまとめると安くなる
  • 車両保険の地震関連の特約見直しには注意が必要

自動車保険は複雑な商品ですが、上記のようにいくつか要点を押さえるだけでムダを省いて補償を変えずに保険料を下げることが可能です。
自動車保険の更新手続きは何となく面倒で、毎年いつもと同じような内容で継続しているという方は多いと思います。親切でマメな保険担当者であればそういった継続の際に上記のような情報も教えてくれますが、残念ながらそうでない保険募集人がいることもまた事実です。
自動車を増やして新たに自動車保険を付ける、または継続の時期が近いという方は、このような自動車保険のムダを見直すいい機会になると思います。翌年以降の継続時においても毎年補償内容をしっかりチェックされるのがムダを省く近道ではないでしょうか。

ABOUT ME
RYOMA
大学卒業後、大手損害保険会社に総合職として就職。在職中は営業担当。損害保険会社を退社後、生損保代理店を経営。数多くの自動車保険、事故を取扱う。損害保険全般に精通した知識を活かし、保険の上手な使い方をお伝えします。

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