自動車保険は決して安いものではありません。少なくとも数万円、場合によっては10万円以上支払っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。だからこそ、「年間1万円でも安くなれば嬉しい」もの。
保険を安くする方法はいたってシンプルです。「保険の乗り換え」か「補償プランを見直し」。これだけで今よりも安くなる可能性は十分にあります。しかし保険は安心を買うものですので「変な保険会社に乗り換えたくない」「ムダに補償プランをいじりたくない」という悩みもあるでしょう。
「安心」と「節約」、今回はこの2つを両立した節約テクニックについてご紹介します。
20年以上保険業界に携わってきたFP(ファイナンシャルプランナー)。独自の視点で自動車保険を分析して補償内容を語る一方、事故時の対応や保険の使い方まで広く解説できる長年の経験が持ち味。持論は「事故は損害賠償の問題、保険だけじゃ解決できない」です。
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目次
自動車保険の節約は「保険会社の乗り換え」か「補償プランの見直し」で行う
自動車保険を節約する方法はとてもシンプルです。
- 今より安い保険会社に乗り換える
- 補償を見直してムダをなくす
大きく言えばたったこれしかありません。
もちろん等級をコツコツ上げる方法もありますが、毎年1等級ずつしか上がりませんし、すでに20等級になっている方はこれ以上の割引は望めません。
「今すぐ保険料を安くしたい」そう考えるならば上の2つが有力な選択肢となります(もちろん20等級の方でも安くなる可能性は十分あります)。
乗り換えか補償プランの見直しか、どちらを選ぶべきかは「満期」を基準に考えます。満期が近いなら「乗り換え」、遠いようなら「見直し」がオーソドックスな方法です。
満期更新は年に1度のチャンスです。等級も無駄なく次の保険会社に引き継げますし、年払いした保険料が無駄になることもありません。一番お得に乗り換えができるタイミングだからこそ、必ず保険料の比較はしておきたいもの。一方、満期がまだな方でも補償プランを見直すだけで十分な節約は見込めます。保険をよく見てみると「不要な補償があった」「補償が重複していた」なんてことは少なくありません。車両保険の内容、年齢条件や運転者の範囲など、見直すポイントはたくさんあります。ムダが生じやすいポイントをチェックすることで保険料を節約することは十分可能です。
保険会社の乗り換えは大きな節約が期待できる
保険会社の乗り換えの特徴は、保険料の大きな節約が期待できること。特に代理店型自動車保険に加入している方は、通販型自動車保険に乗り換えることによって数万円単位で年間保険料が節約できるケースもあります。通販型自動車保険で有名どころと言えば、ソニー損保・チューリッヒ・イーデザイン損保・アクサダイレクト・セゾンおとなの自動車保険・SBI損保といったところでしょうか。CMでもよく見かけますね。徹底的なコストカット戦略で価格を抑え、大手損保と比べてもかなり安いです。
例えばダイレクト系損保(通販社)と大手損保の保険料を比較してみましょう。
記名被保険者:30歳男性/ブルー免許/15等級
自動車:プリウス
補償内容:対人:無制限 / 対物:無制限 / 人身傷害補償:3,000万円 / 搭乗者傷害:なし /特約:なし
保険会社 | 区分 | 保険料 |
---|---|---|
東京海上日動 | 代理店型 | 84,730円 |
三井住友 | 代理店型 | 79,870円 |
損保ジャパン | 代理店型 | 84,390円 |
あいおいニッセイ同和 | 代理店型 | 79,020円 |
ソニー損保 | 通販型 | 75,660円 |
おとなの自動車保険 | 通販型 | 51,430円 |
アクサダイレクト | 通販型 | 51,130円 |
SBI損保 | 通販型 | 51,570円 |
イーデザイン損保 | 通販型 | 69,550円 |
チューリッヒ | 通販型 | 62,840円 |
三井ダイレクト | 通販型 | 59,510円 |
このように、通販社のほうが明らかに安いことがわかるはずです。
しかしこの通販型自動車保険、実ははディーラーや保険代理店では紹介してくれません。保険料の見積もりをとりたければ、ご自分で一括見積もりや公式サイトなどで見積もりをとる必要があります。保険料を安くするという目的なのであれば、一括見積もりの利用のほうがおすすめです。単なる見積もりだけでなく、今の自分の保険料が他社と比べて高いのか、またどこが安い保険会社なのかがわかるからです。見積もりをした結果、今の保険が安いならそのまま継続でも問題ありません。乗り換えをするしないは関係なく、保険料を比較して確認。これが節約には大事なことです。
補償内容を変えたくない人にこそ乗り換えはおすすめ
「自動車保険を節約したいけど、補償内容はできるだけ落としたくない」、実はそんな方にこそ保険会社の乗り換えはおすすめです。上の保険料比較表にある通り、同じ補償内容でも保険会社によって数万円の差が生まれます。なので、今の補償内容を保ったまま、安い保険会社を見つけることも可能です。
自動車保険は万が一のためにかけるものですので、スカスカな補償設定では意味がありません。希望の補償内容で納得いく値段の保険会社を見つけることが、賢い自動車保険の活用術となります。
新規ネット申し込みだと1万円割引される
通販型自動車保険には「新規ネット申し込み割引」という制度があります。
金額は保険会社によって違いますが、だいたい1万円程度で設定されていることが多いです。
ネット割引は新規加入者を優遇することで保有契約を増やそうと言う施策です(携帯電話の「乗り換え優遇」に似ています)。ずっと同じ保険会社に縛られる必要はないので、翌年再度見直して他の保険会社へ移るという作戦でも問題ありません。
継続申し込みでも1万円割引が適用
逆に満期時に継続すると割引してくれる保険会社もあります。
今は保険業界もかなり競争が激しいので、各社様々な割引を実施しています。こうした制度を積極的に使うのも節約方法のひとつです。
保険会社変更の注意点は乗り換えのタイミング
保険会社乗り換えでの注意点は、中途更改(契約満了前の乗り換え)で発生するデメリットです。
中途更改をすると、①等級の進行が遅れる、②年払いした保険料は一部しか戻ってこない、というデメリットが発生します。
それでも20等級であれば保険料の進行に関係ありませんし、月割り解約ができる場合は②のデメリットもありません。また保険料が数万円以上削れる場合は中途更改してでも乗り換えたほうがお得というケースもあります。ほとんどの方は契約満了のタイミングで乗り換えを検討すると思いますが、途中乗り換えしたほうがいい場合は全然中途更改してもらって構いません。
補償内容のムダを細かく見直すことで、大きな節約へと繋がる
現在契約中の補償プランのムダをなくすことも保険料節約には重要です。昔は必要でも今は不要な補償や特約はついていませんか?自動車保険の適切なプラン設定はライフスタイルと共に変わるものです。細かいムダをなくすことの積み重ねが、大きな節約へとつながりますので、できるだけ毎年補償内容は見直すようにしましょう。
自動車保険のムダの見直しは、どこを見ればいい?
ムダをなくす見直しポイントは以下がオーソドックスです。
- ①車両保険
- ②年齢条件
- ③運転者の範囲
- ④利用区分
- ⑤特約
車両保険
車両保険にはフルカバータイプやエコノミータイプといったものがあります。エコノミー型は自損事故等には適用されませんが、その分保険料も安いです。同じく、免責金額(修理時の自己負担金)を設定することでも保険料はかなり抑えられます。
車両保険は原則保険会社が定めた時価額までしか補償されません。当然古い車ほどもらえる金額も少なくなります。一般的には「50万円」を切った車には車両保険をつける必要性はないと言われています。更新で何も考えず車両保険をつけ続けていた方はこうした部分も見直すと保険料はグッと抑えられます。
車両保険は掛け金がかなり高い保険なので、ある程度の見返りがないとかけるメリットは薄いです。
年齢条件
年齢条件を無駄に広く設定している人は意外と多いです。特に、毎年補償内容もろくに見ずに更新している方に多い印象です。毎年年齢は上がるわけですから、ある程度の年数が経てば年齢条件もあげられるはずです。
保険会社によりますが、年齢条件には以下のようなステージがあります。
- 全年齢(20歳以下)
- 21歳以上
- 26歳以上
- 30歳以上
- 35歳以上
当然年齢条件は上がるほど保険料は安くなります。
たまにしか運転しない人に合わせて年齢条件を設定しているなら、主な運転者に合わせた年齢条件に変えましょう。年齢条件は必要な時に変更できます。
ちなみに「別居で未婚の子」は年齢条件の範囲に含める必要がないので間違えないようにしてください。この場合は運転者の範囲で「家族限定」をつけていればきちんと補償されます。
運転者の範囲
子供が独立した時など、以前のままの範囲では損です。範囲はきちんと設定しましょう。
利用区分の設定
保険会社の中には利用区分を「業務」「通勤・通学」「日常・レジャー」に分けているところがあります。
覚えておきたいのは「通勤・通学」の定義です。毎年平均で月15日以下の使用であれば「日常・レジャー」で申請することができます。例えば天気の悪い日にだけ通勤で車を使用している方などは、わざわざ「通勤・通学」で申請する必要はありません。逆に今まで毎日車通勤だったのを天気の悪い日限定にすれば保険料を節約することもできます。
歩いたり自転車に乗ったり、運動不足の解消にもなりますので一石二鳥です。
不要・重複のある特約
特約は非常に便利な一面、つけすぎると保険料アップとなってしまいます。特に特約の重複は完全に無駄になってしまいますので注意しましょう。
重複が発生する主な特約は以下の通りです。
特約 | 概要 |
---|---|
弁護士費用特約 | 補償範囲が同居の家族に及ぶ場合がありますので、家族の中で2名以上特約に入ると無駄になるケースがあります。また火災保険に付帯されている場合もあります。 |
ファミリーバイク特約 | こちらも補償範囲が同居の家族に及ぶのが一般的です。家族の中で2名以上特約に入ると無駄になるケースがあります。 |
人身傷害保険 | 補償タイプに「自分だけ」「同乗者も」の2種類があり、「同乗者も」のタイプを家族が同時につけていると補償範囲が重複して無駄です。注意しましょう。 |
条件変更のポイントは月単位で考えること
条件変更で節約を図る場合に、月単位で考えるというのがとても重要になります。
月単位というのは暦どおりの月ではなく、ご自分の始期日(補償開始日)を起点としたものです(業界的には応答日と呼びます)。例えば11月22日が始期日なら12月の応答日は12/22になります。これを1ヶ月として数え、それぞれの月の22日がそれぞれの月の応答日になります。
大手社は月割といって、この応答日ごとに保険料の計算をしていきます。ダイレクト系はもうちょっと別な短期率という計算方法で変更保険料を計算する保険会社が多いですが、この短期率の計算においても月単位で計算が変わってきますので、やはり意識してもらうのは応答日です。
「日ごろは自分しか運転しないので本人限定にしておき、知人が乗るので限定を外す」というのは割とオーソドックスな変更例です。季節的なものを考えて、冬場はあまり車に乗らないという事であれば12~3月だけ補償を省いておくと良いでしょうし、日頃は必要十分にしておき、旅行時期とか別な使い方の時に補償を上乗せしてみるという考えも良いかと思います。
Webや電話一本でOK!不要な補償をストップする際の手順と流れ
不要な補償をストップする際の手順と流れは以下の通りです。
保険会社に電話で条件変更申し出る場合
- 保険会社に電話
- 変更手続きの書類が届く
- 必要事項を記載して返送
- 保険料差額の返還
補償条件の変更は電話手続きで簡単にできます。カスタマーセンターへ電話して条件変更を申し出るだけでOKです。大手損保などはこのように電話手続きで補償条件を変更します。
電話で申し出た後書類が送られてきますので、必要事項に内容を記載して返送すれば手続き完了です。
また、担当の代理店に連絡しても同様に手続きが可能です。
すべての手続きが終了後、保険料の差額が返還されます。
手元に保険証券を用意する
手元に保険証券があると手続きがスムーズに進みます。電話をかける前に用意しておきましょう。
契約者が直接電話をかける
変更手続きは契約者本人からの電話が必要となる場合が多いです。契約者が直接連絡するようにしましょう。
WEB手続きの場合
- WEBページで条件変更の手続きを行う
- 変更手続きの書類が届く
- 必要事項を記載して返送
- 保険料差額の返還
ダイレクト系自動車保険は契約者ページで条件変更ができるケースが多いです。Web手続きが出来る保険会社で加入している場合はWeb手続きを利用しましょう。
再開した場合も電話・web手続きでOK
一旦ストップした補償を再度復活させたい時もWEB手続きや電話手続きでOKです。
その他の自動車保険節約テクニック
以下は家族構成やタイミングによっては活用できる節約術になります。当てはまる方はぜひ活用してみてください。
家族に等級を引き継がせる
自動車保険の等級は同居の親族間で引き継ぎができますので、割引が進んだ等級を家族に渡すのも今後の節約に繋がります。
例えば、18歳で自動車保険を取り立て(6等級)の息子がいる場合、20等級のお父さんと等級を入れ替えるだけでこんなに保険料は変わります。
子供 | 父親 | 合計 | |
---|---|---|---|
父20等級・子6等級 | 223,310円(6s等級) | 58,800円(20等級) | 282,110円 |
父7等級・子20等級 | 139,500円(20等級) | 72,410円(7s等級) | 211,910円 |
等級を入れ替えるだけで、家族トータルで見たら保険料が7万円ほど安くなりました。父親が7等級になっているのはセカンドカー割引が適用されたためです。自動車保険のリスク区分の裏を上手に利用することで保険料をグッと抑えることが可能です。特に親が高い等級で、子供が免許を取り立ての場合などはとても有効ですのでぜひ実行してみてください。
1日自動車保険を利用する
「いつもは運転しない子供が帰省中の間だけ運転する」という時、一般的には運転者年齢条件変更で対応することが多いですが、「1日自動車保険」を利用するとその日だけ保険を掛けるという事が可能ですので大元の保険の年齢条件を変えずに済むため節約となります。
1日自動車保険なら事故を起こしても等級が下がらない
仮に事故があっても1日自動車保険と大元の自動車保険には何の繋がりもありませんので、大元の自動車保険の等級に影響が出ません。
このようなメリットがあるので、臨時的な利用には1日自動車保険を使うのも良いです。1日自動車保険は東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和、損保ジャパン日本興亜(2019.1より)で取り扱いがあります。
月払いではなく年払いにする
支払いは月払いよりも年払いのほうが節約になります。
ソニー損保や大手社などでは月払いの契約が出来ますが、分割割増と言いまして年払いよりも高く設定されています。また、月払いの無いダイレクト系の場合は分割にしたい場合はクレジットカードの分割払の利用を勧めてますが、カードのほうで金利がかかるのでやはり年払のほうがお得です。
例えば年払いで5万円だとするとこれぐらい変わってきます。
年払い | 50,000円 |
---|---|
月払い総額(割増5%) | 52,560円 |
カード分割12回払い(年利14.5%) | 53,350円 |
数千円ではありますが、割増になるのはちょっともったいない気がしますね。
例えば、毎月に保険料を積み立てておき支払いは年払など、計画的に支払うことがオススメです。
またカード会社によってはボーナス払や2回払で金利が掛からない場合もあるのでカード会社の制度もうまく使えれば分割払いでもいいでしょう。
毎年保険を見直すことが保険料節約のカギ
長期契約にしていなければ、自動車保険は年に1度の更新です。しかし面倒だからという理由で、毎年同じ補償プラン、同じ保険会社を選んでいませんか?できれば自動車保険は毎年見直しを行うようにしましょう。
ライフスタイルが変われば補償プランも変わるのが通常です。その時必要な保険だったとしても、今は不必要になったということはいくらでもあります。例えば運転する機会が減っているのであれば走行距離で保険料が変わる自動車保険を選んだほうがお得ですし、自分しか運転しなくなったのであれば運転者の範囲を狭めるべきです。
また、安い自動車保険は毎年変わります。去年はA社が安かったのに、今年はB社が安いということは普通にありえる話です。保険料を決める「料率クラス」は毎年変わりますから、どこが安いかは見積もりをとってみないとわかりません。
できれば毎年保険料を見直して、ムダな保険料を払わないように節約することが大事です。
まとめ
- 満期が近い方は満期前に安い保険会社を検討
- 期の途中で節約を図りたい方は条件変更で補償を減らす
- 生活環境に大きな変化が出た時は期の途中で保険会社そのものを変更するのも検討
- 条件変更はWeb手続きや電話手続きで簡単
- 分割払よりも年払のほうが節約となる
自動車保険は条件の見直し、または保険会社の乗り換えによって節約ができます。特に満期間近の人は保険会社を乗り換える年に1度のチャンスです。数万円もの保険料が節約できる可能性があるため、一度見積もりをとってみることをオススメします。
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